骨粗しょう症に伴う「ドミノ骨折」どう防ぐ?

骨粗しょう症に伴う「ドミノ骨折」どう防ぐ?

2025年10月22日公開

最初の骨折後の治療が重要

 骨粗しょう症という言葉をご存じでしょうか? 比較的高齢の女性に多く、骨がもろくなり簡単に骨折を生じてしまう状態を示しますが、沖縄ではこの骨粗しょう症が大きな問題になっています。

 太ももの付け根(大腿骨頸部(だいたいけいぶ))の骨折頻度の全国調査では、沖縄が最も高いことが報告されました。単に骨折と考えてはいけません。骨粗しょう症の状態では、大腿骨頸部や背骨の椎体(ついたい)と呼ばれる部分の骨折(圧迫骨折)が最も生じやすく、そういった骨折後の1年間の死亡率が高いことが知られています。介護が必要な状態になる最も大きな原因も骨折です。

 さらに骨折の連鎖あるいはドミノ骨折といって、一つ折れると次々と骨折を生じることも多く、椎体骨折が三つ以上あると10年間の死亡率が約3・3倍に跳ね上がることも分かっています。一方、骨粗しょう症に関しては、良い薬がたくさん出てきており、一つ目の骨折後に正しい治療を受けることで多くのドミノ骨折を防ぐことができます。良い治療があるのに、それを受けることなく、また骨折を生じるなんてことは避けなければなりません。

 骨折の治療に携わる私ども整形外科医の意識は、以前よりずいぶん改善してきていると思います。例年骨粗しょう症などの啓発運動も活発に行っていますが、県民の皆さまに十分周知されているとは思えません。糖質の過剰摂取に伴う肥満やアルコール多飲、運動不足も骨粗しょう症の原因として知られており、いずれも沖縄において改善の余地が大いにあるものばかりです。県庁にもその都度、この沖縄の現状をお伝えしていますが、それに対する具体的な対策はいまだ不十分です。

 私は県外から着任した「ないちゃー」ですが、大好きな沖縄の状況を黙って見過ごすわけにはまいりません。皆さん、耳が痛い話ばかりで申し訳ありません。でも、まずはこの沖縄の現状を知り、健康に関心を持っていただくことが第一歩だと信じています。健康に対する無関心こそが沖縄の最大の敵なのです。

西田康太郎 琉球大学病院整形外科(宜野湾市)

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