膝の靱帯大丈夫? 運動部の女子中高生に高リスク

膝の靱帯大丈夫? 運動部の女子中高生に高リスク

2025年04月10日公開

ACL損傷の治療と予防策は

 スポーツによるけがはしばしば見られます。軽いものがほとんどですが、中には長期間の治療が必要なものもあります。その代表的なけがの一つが「膝前十字靭帯(ACL)損傷」です。この靭帯を痛めると、スポーツへの復帰が難しくなるだけでなく、膝のクッションの役割をする半月板も一緒に傷ついてしまうことが多く、原則として手術が必要になります。

 特に、バスケットボールやサッカー、ハンドボールなどの激しい動きが多いスポーツでは、ACLを損傷するリスクが高いといわれています。また、女性や関節が元々柔らかい人、若い選手は特にリスクが高いといわれており注意が必要です。沖縄では女子の中高生の運動部が活発なこともあり、ACL損傷が比較的多く見られます。

 手術は体の別の部分から腱(けん)を取り出し、損傷した靭帯の代わりに移植します。最近では手術の選択肢が増え、一人一人に適した方法を選べるようになってきました。特に再発リスクが高い場合は、「外側補強術(LET)」という追加の処置を行うことで、けがの再発を防ぐ効果が期待できます。この方法は世界的に広まりつつあり、日本でも少しずつ導入されています。

 手術後は、しっかりとしたリハビリテーション(リハ)がとても重要になります。スポーツ復帰には8~12カ月ほどかかりますが、適切なリハを行うことで、より安全に競技へ戻ることができます。またスポーツのけがは予防が大事ですが、「FIFA 11+」という予防トレーニングを週に2回行うことで、靭帯損傷を含むさまざまなけがのリスクを減らせることが分かっています。しかし、このトレーニングはまだ十分に普及していないのが現状です。

 現在、膝前十字靭帯損傷の治療には多くの選択肢があり、予防策も進化しています。スポーツを楽しみ続けるために、正しい知識を持ち、けがの予防や治療に取り組んでいきましょう。一人一人に適した治療を提供する医療機関も増えており、膝の不安や違和感がある方は、専門の先生にぜひともご相談ください。

島川朋享 同仁病院整形外科(浦添市)

新着記事


リニューアル前のサイトはこちら