大腸がん検診 早期治療すれば予後よい

大腸がん検診 早期治療すれば予後よい

2025年02月12日 公開

 沖縄県における「がん」の現状を見てみましょう。2023年の沖縄県の全死亡数は1万5110人、がんによる死亡数は3404人(22・5%)と報告されています。部位別では肺、大腸、胃と続き、特に大腸がんの死亡者数は年々増加の一途をたどっています。

 沖縄県と県医師会は、各市町村の協力も得て県民のがん検診受診状況を調査分析し、がん死亡率減少を目標にこれまで努力検討を行ってきました。その結果、問題の一つとして県内の大腸がん検診受診率が低いことが指摘されています。国の世論調査では、「がん検診は早期発見、治療につながるか」との問いにほとんど全員が「そう思う」と回答しています。しかし調査に参加し、がん検診に関心があると思われる方々でも半数が大腸がん検診を全く受けていないことが分かっています。がんの早期発見、早期治療の観点から、がん検診の重要性は皆さん理解しているようです。それではどうして検診を受けないのでしょうか。

 前述の調査では、心配なときはいつでも医療機関を受診できるから、費用がかかり経済的にも負担になるから、受ける時間がないから、健康状態に自信があり必要性を感じないから、検査内容や苦痛の程度がわからず不安だから、がんであるとわかるのが怖いから、受ける場所が不便だから等、誤った解釈や実施体制の課題を挙げています。

 次に精検受診率(「精密検査が必要です」と言われ実際に精査を受けた割合)の目標を国は90%以上としていますが、県内の大腸がん精検受診率は55・8%と大きく下回り、全都道府県中ワースト1という不名誉な数字が出ています。

 がん検診で発見された「がん」と症状を訴え外来で発見された「がん」では、検診群が外来群より予後(病状についての医学的な見通し)がよいとの報告が多数あります。早期のうちに治療を行えば、大腸がんは予後のよい疾患といえます。40歳を過ぎたら大腸がん検診(便潜血)を受診し、陽性となった場合は精密検査の大腸内視鏡検査をぜひ受けましょう。

金城渚 琉生病院 消化器内科・沖縄消化器内視鏡会会長(那覇市)

新着記事


リニューアル前のサイトはこちら