高齢者社会の心臓病 治療の進歩で発症予防も

高齢者社会の心臓病 治療の進歩で発症予防も

2026年07月24日 公開

 日本人の平均寿命が2024年時点で、男性81・1歳、女性87・1歳となり、年々高齢化が進んできています。循環器領域では高齢者の心不全が著明に増加しているのが問題となっており、その取り組みが何年も前から進められています。

 心不全の定義とは、「心臓の構造・機能的な異常により、うっ血や心内圧上昇…」と書かれていますが、一般の方への表現としては不向きであるため、新しいガイドラインには一般向けの定義が記載されています。「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり生命を縮める病気です」。これならなんとなく分かるかと思います。

 心不全患者は25年には約36万人と言われており、高齢者人口が30%を超えると予想される30年にはさらに増えていると思われます。

 増加している原因は、若年は虚血性心疾患と高血圧、高齢者では心臓の筋肉(心筋)の柔軟性が低下することによる拡張障害と弁膜症によるものが多いと言われています。虚血性心疾患に関しては、若い世代の生活習慣病の予防・コントロールができていないことが最も大きな要因です。

 しかし、拡張障害や、弁の硬化による弁膜症は年齢に依存するのが大きいため、なかなか予防が難しい病態です。心筋の拡張障害による心不全に対しては今まで有効な薬剤はありませんでしたが、発症を予防する可能性のある治療薬が出てきました。弁膜症に関しては、開胸による弁置換術が唯一の治療法ですが、高齢者にとっては非常に大きな負担となります。

 そのなかで、大動脈弁狭窄(きょうさく)症に対しては、カテーテルによる人工弁留置術が可能となり、手術ができなかった高齢者でも低侵襲での治療が受けられるようになりました。

 治療の進歩により高齢の患者の心不全の発症や再発をある程度抑えることができるようになってきました。長生きしたい気持ちは皆同じですが、誰にでも寿命があります。ただ、いつまで元気に余生を過ごすことができるかという「健康寿命」をもっと意識していくべきだと思います。

嘉数真教 友愛医療センター 循環器内科(豊見城市)

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