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結核予防週間にちなんで


 
沖縄県医師会感染症・予防接種委員会委員
国立療養所沖縄病院      大湾勤子

かつて「国民病」と言われた結核も、医療や生活水準の向上のおかげで、きちんと治療すれば完治する時代になりました。しかし、今なお、毎年約四万人の新規登録患者が発生し、三千人近くの方々が結核で死亡しており、今でも我が国最大の感染症です。

沖縄県内では、平成十三年に新たに結核を発病した人は、前年より二十八人多い三百八十人で、また結核で亡くなられた方は二十一人います。年齢別の新規結核患者は、七十歳代が最も多くて八十三人、続いて六十歳代、八十歳以上の順となり、六十歳以上の高齢者が六割を占めています。県結核サーベイランス委員会の速報によると、平成十四年上半期の新規結核患者数は百三十九人と昨年にくらべて減少傾向にありますが、年齢別ではやはり六十歳以上が五十五%を占めています。

結核菌に感染すると、すぐに発病する場合もありますが、ほとんどは身体の抵抗力で結核菌を押さえ込んでしまうので、発病せずに経過し、感染に気づかない場合が多くあります。実際に発病するのは、感染した人の一割程度で、一生発病しない人もいます。一九九九年七月に日本で結核緊急事態宣言が発令されましたが、その後も結核はなかなか減少していません。その一因として、結核が蔓延した時代に生まれ育ち、結核菌を体内に持った高齢者が、抵抗力が落ちて発病するケースが増えていることがあげられます。また糖尿病や胃切除、悪性腫瘍患者、人工透析を受けている患者などに結核発病リスクが高く見られています。

その他の要因として、現在の日本では、結核に感染する機会が減ってきており、二十歳代、三十歳代の人たちは大部分が未感染のため、結核患者が発生すると集団感染を起こす可能性が高くなっていることがあげられます。実際感染源となる患者が発生する確率は、病院や事務所など成人集団の中に圧倒的に多いことがわかっています。また特に集団生活の状態にある学校現場では、常に集団発生の危険があり、日ごろから生徒や教師は結核について認識しておく必要があります。

予防接種としてはBCGがあります。BCGは、結核性髄膜炎をはじめとする乳幼児の重症の結核に対して、最も予防効果が期待できます。しかし、一方従来行われてきたBCG再接種による発病予防効果の検証が得られていないことから、本年五月に予防接種の制度改正の提言がなされました。二〇〇三年四月から小・中学生のツ反検査、BCG再接種が中止され、さらに二〇〇四年より全乳幼児を対象に生後十二か月までにツ反検査を省略したBCG接種が行われることになっています。

結核は感染予防と早期発見が大事です。結核の初発症状は風邪とよく似ているので、咳、たん、微熱、倦怠感が続く時には、自己判断をせずに、早めに医療機関、保健所、検診センター等で検査を受けることをお勧めします。


 

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