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■生涯学習

中部病院救急室におけるこどもの事故

沖縄県立中部病院 小児科 小濱 守安


【要 旨】

15歳未満児の不慮の事故死は、死因の第1位を占めており、その改善が課題である。中部病院による諸事故症例を検討し報告する。3歳未満児の交通事故は139人で10人が入院した。チャイルドシート着用率は19%で、非着用例に重症外傷が多く合併した。こどもの着座位置は助手席が最も多かった。転落転倒は144人あり、転落場所はベッド41人、クーハン17人、歩行器、階段12人などであった。溺水は20年間に136人であった。7、8月で全体の55%が発症した。6歳未満の幼児で、男児が多かった。誤飲・誤嚥事故は300例あり、消化管異物が186件で14例が入院した。ついで咽喉頭異物53件、耳鼻異物47件などであった。乳幼児の事故は発育や発達と相関している。成長につれて周囲への興味や行動域の拡大に伴い誤飲や熱傷、溺水などの危険性が高まる。健全な運動発達のためには行動制限は困難であり、こどもの発達に伴い、予測し行動することが必要である。



はじめに

本邦におけるこどもの死因の中で過去30年にわたり不慮の事故死は、第1位を占めている。その改善はこれからの小児保健の課題である。健やか親子21の中でも2010年の目標に不慮の事故死亡率の半減、全家庭で事故防止対策実施を目標に掲げている。最近数年間にわたり、県立中部病院による諸事故の統計をまとめてきた。当院における事故の状況を呈示し、その予防対策を検討し報告する。

1.交通事故

表1.交通事故による救急室受診

1996年から7年間の3歳未満児の交通事故を、道路交通法が改正された2000年4月前後で改正前と改正後に分けて検討した1)2)3)。調査期間中に交通事故で救急室を受診した患者は成人を含めて5,342人であった。そのうち15歳未満児は762人で14.3%を占めた。小児の中で、3歳未満児は139人で小児患者の18.2%であった。以後は3歳未満児の交通事故について検討する。男女比は75:64で、10人が入院した。改正前の交通事故で、3歳未満児79人中4人が入院した。改正後は60人中6人が入院した。チャイルドシート(Child Restraint Device、以下CRDと略)着用率は19%であった(表1)。139人中99人が受傷し、追突以外の車対車の衝突が59人と最も多く、38人が受傷した。追突された27人で13人受傷、轢かれたり、はねられたりしたものが22人で20人が受傷した(表2)。CRD非着用例に重症外傷が多く合併し、入院10人は全例非着用であった(図1)。こどもの着座位置は62人が助手席と最も多く、CRD使用が14人、使用なしが24人、抱っこ21人、クーハン3人であった。後部座席40人中CRD装着は8人のみ、非装着が18人、抱っこ12人、クーハン2人であった。こどもを膝に座らせて運転したのが2人あった(図2)。0歳児では抱っこが最も多く、2歳児ではCRDなしでの乗車が最も多かった(図3)。CRD非着用の75%が受傷、かつ重症が多かったのに反し、CRD着用例は48%が受傷したが軽症であった。CRD着用が交通事故による受傷を軽減防止する唯一の方法であり、着用率の改善が必要である。抱っこやクーハンはチャイルドシートのかわりとならない。乳幼児の頃より乗車中のチャイルドシート着用は当然であることを認識させるためにも、同乗する保護者が後部座席でも積極的に着用し規範を示す必要がある。CRDは車内で子ども達を拘束し、走行中の車内で自由に動き回らないように固定し、かつ万一の事故に際してこどもが放出され車内構造物に衝突、あるいは車外に放出されないようにするための装置であることを再認識しなければならない4)。

表2.事故の状況 図2.事故時の子どもの位置

図1.チャイルドシート(CRD)の有無と外傷 CRD装着児は軽症のみ

図3.年齢別事故状況



 

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