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■月間(週間)行事 お知らせ

財結核予防週間(9/24〜9/30)に寄せて

沖縄県中央保健所 上原 真理子

上原 真理子さん

毎年9月24日から30日までの1週間は結核予防週間です。沖縄県においても、各保健所他で、様々な啓発の取り組みをその期間に実施しています。例年「パレットくもじ」前では、沖縄県と結核予防会沖縄県支部や沖縄県婦人会と中央保健所が協働により、結核検診車による胸部間接撮影とパンフレット・チラシ配布を行い、道行く人へ結核がまだ多いことをアピールしています。

結核と言えば、世界最大の感染症で人口の3分の1が既感染し、年間880万人新発生し、187万人が死亡している病気です。

日本でも、約50年前までは「国民病」と言われ、死亡原因の第1位でした。それが、経済復興や栄養改善、有効な薬の開発と相まって、結核罹患率はどんどん減少して、現在は死亡順位25位となっています。しかし、昭和50年代から減少速度の鈍化が始まり、平成9年の統計からは一転増加し、3年間増加してしまいました。時の厚生省は平成11年7月、WHOの世界非常事態宣言に遅れること6年で「結核緊急事態宣言」を発令し、各方面へ対策の見直しを迫りました。世界では結核対策の軽視、HIV感染症の流行、多剤耐性結核菌の出現等により結核による健康被害が世界各地で拡大していることの警告を行ったのですが、日本においては高齢者の結核増加、結核集団感染事件の増加、多剤耐性結核の問題などがその要因となっていました。

結核は、「今どき、まだあったの?」と言われるような再興感染症に分類されていますが、日本においては、毎年約3万人の方が新しく結核に罹り、約3千人の方が死亡する我が国最大の感染症です。先進国の中で、日本は「結核の中蔓延国(中進国)」と有難くない呼び方をされる、結核の多い国です。こういった流行には3つの理由があります。(1)若い頃に感染した人が高齢化により発病 (2)若い世代(未感染者)や高齢者等(免疫力低下者)の増加により、集団感染の可能性 (3)結核への関心の薄れにより、受診や診断の遅れで重症患者が増加、といった理由です。

結核緊急事態宣言後、平成12年から厚生科学審議会感染症分科会結核部会では、今後の結核対策についての議論が重ねられ、平成14年3月に「結核対策の包括的見直しに関する提言」が取りまとめられました。この中には結核予防対策の広範な見直しが含まれており、早急に対応可能な部分の見直しとして、平成15年度から小学校1年生・中学校1年生のツベルクリン反応検査およびBCG再接種が廃止されました。

さらに、平成16年度において、上記提言を基に、健康診断について一律的・集団的対応からリスクに応じた対応ができるようにすること、科学的知見に基づきBCG接種前のツベルクリン反応検査を廃止すること、結核対策の計画的推進を図るための国の基本指針・都道府県の予防計画の策定、DOTS(直接服薬確認療法)の推進等のため、結核予防法の改正が行われ、平成17年4月から全面施行となりました。沖縄県においては、一例を挙げますと、乳児のダイレクトBCGについては、多くの市町村が集団での体制を継続する中で、那覇市のみがBCGの個別接種化に踏み切っています。ツベルクリン反応検査をしない方法のため、結核菌に感染している児にBCGを接種した場合のコッホ現象(接種後数日で強い反応が現れる)を保護者に十分周知しておき、接種医へ連絡相談し、精査へ回す体制の確立が最要件となります。

沖縄県の推移を見ても、まだまだ結核に新しく罹る患者さんは毎年約300名(平成16年は341名)で、人口10万人当たり26人ほどです。その診断動機は、8割が有症状受診であり、診断が遅れると、本人の重症化と周囲への感染が問題になります。一方、健診発見で軽症な場合は、仕事をしながらの治療が可能で、薬を服用するのは約6ヶ月です。きちんと服用すればきれいに治る病気ですから、罹った方がしっかりと薬を飲んで完治するように、本人のみでなく家庭や会社など周囲の協力も欠かせません。

私達保健所は、結核と診断すると2日以内に届け出る医師の行動から、全てを開始いたします。つまり、届出を受けると、保健師による患者さんへの早期訪問により、患者さんの療養支援と周囲の方々の定期外(接触者)健診が始まるからです。ご本人から直接情報をいただいて、その了解のもとで、定期外健診の範囲は保健所内で検討して決定しています。

患者さんを診断し治療する医療機関も、患者さんの療養支援と周囲の方々への感染拡大防止・早期発見を目指す私達保健所も、目指すところは、同じ結核を減らすことです。そのために、私達保健所は、診断された患者さんがきちんと治癒するまでドロップアウトしないように支援・見守りをし、確実な治癒を獲得されるよう、地域DOTS(直接服薬確認療法)を推進して行かなければなりません。増大する業務と減っていくマンパワーを勘案しつつ、より効率的・効果的な支援を図りたいと考えています。

今後とも医療機関、県医師会の皆様との協力関係なしには結核対策は進みません。一般の方々への啓発、市町村との連携を取りつつ保健所も頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。




 

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