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■報告

平成16年度全国医師会勤務医部会連絡協議会(報告)
メインテーマ『激動の時、新たな勤務医像を求めて』
〜新臨床研修制度とともに〜

理事・日医勤務医委員会委員 今 山 裕 康


会場風景

去る平成16年11月6日(土)ホテル日航熊本において、熊本県医師会の担当で、平成16年度全国医師会勤務医部会連絡協議会が開催されたのでその概要を報告する。

開会にあたり、植松日医会長は、混合診療の解禁、株式会社の医療参入など市場原理の導入が強引に進められようとしている中、開業医と勤務医の間に混合診療解禁などの問題に対する認識の多少異なる点も見受けられるが、互いが十分に議論を重ね共通の認識をもって難局に処する必要性を強調した。一方、北野熊本県医師会長は勤務医の日医会員に占める割合が50%近くに達しており、医師会活動における勤務医の果たすべき責任と役割は重要で、勤務医が会の運営に協力することが不可欠と述べた。

次いで、熊本県医師会より「勤務医現況調査集計結果報告書」の説明があった。アンケート回収率は60.6%で、男性84.4%、女性13.2%であった。年齢構成は40代がトップで30代と合わせ58.7%を占め、一方70代以上が5.3%とのことで全国平均より若干高齢であった。週休は、4週8休の勤務制度をとっている医療施設が7割を占めていたが、実際に4週8休を実行しているのは3割と半分以下で、実働勤務時間が48時間以上の男性医師は51%、女性医師は46%と勤務制度と実働勤務時間が掛け離れていることが浮き彫りにされた。医師会への入会率は、45.6%と半分以下と報告され、私的医療機関で入会している医師が多く、国公立・公的病院、大学病院で未加入の医師が多いとの報告があった。入会しない理由として、「メリットがない」という意見が40.0%あり、医師会への意見にも「勤務医が医師会に入るメリットがわからない」、「もっとPRして欲しい」という内容が多数見られ、今まで以上に勤務医に対して医師会活動のPRをせねばならないことが報告された。将来開業の予定については、68.3%が「開業の意思なし」「わからない」と回答し、現在の社会・経済情勢を反映しているものと考察、定年まで今の病院で働くと答えたのは20.5%で、我が国の社会保障制度が、人口構成の変化、特に少子高齢化によって大きな転換期を迎え、「将来への不安」、「収入が少ない」等が原因と推察していた。

沖縄県医師会の勤務医の入会率は67.6%(平成14年)であり、全国平均より高い。また、本会における勤務医の割合は66%となっており、勤務医の果たすべき役割は大きいと考える。

特別講演は、1)「今、医療に求められるもの」:日本医師会長植松治雄、2)「宇宙と素粒子」:東京大学名誉教授小柴昌俊、3)「北里柴三郎と周辺の人びと」:熊本大学名誉教授野村茂の3題であった。植松会長は、今、医療に求められるものとして「医療の安全と質」・「高度先進医療と医の倫理」を取り上げ、医師が、人・物・組織の問題に十分な対処をし「残留リスク」を恐れて医療にマイナスが出るようなことは避けるべきと述べられた。また、医療事故におけるリピーターの再教育や生涯教育に積極的に取り組み、「基本的医療問題」を重視し、「病病連携」など医療供給体制と医療改革の考え方などについて講演された。小柴先生の「宇宙と素粒子」は興味のある人にはとてもおもしろい話であったが、興味のない人にはとても退屈な話であったろうと思われた。ただ、ニュートリノという一番小さな構成単位が解ると宇宙が解るという話はとてもロマンチックであった。また、ノーベル賞を受賞されたあと基礎科学研究のための財団を創られた事には敬服するのみであった。野村茂名誉教授の北里柴三郎については、細菌学者として破傷風菌の純培養の成功やジフテリア抗毒素血清療法の研究のほかに、伝染病研究所・慶応義塾大医学部の創設・日本医師会の創設と非常に幅広い業績についての話しであった。

シンポジウムは「臨床教育・研修制度改革と勤務医の役割」と題して、5人のシンポジストの発表があった。「卒前・卒後・生涯教育:変革の動向と背景」、「病院でのクリニカル・クラークシップの試み−クリニカル・クラークシップの本格的導入を通して考える日本の卒前医学教育−」、「診療所でのクリニカル・クラークシップの試み」、「新研修制度について」−特に短期間のスーパーローテーションの問題点−、「熊本市医師会における生涯教育の実施状況」等について活発な討議がなされ、ここ数年で大きく変わった医学教育に大変驚くとともに、我々医師会会員が医学教育に関わる必要性があると思われた。



 

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