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■生涯教育

境界型糖尿病(IFG)例の検診結果と2型糖尿病予防の検討

沖縄県立看護大学病態生理学・疾病学
宮 城 航 一

要旨

本論文では2001、2002年に沖縄県健康増進センターの健康度測定室で検診を受けた男性169名、うち36名が糖尿病群、52名が境界型群、残りはそれぞれの群に対応する正常者をコントロール群とし、群間比較を行い、糖尿病予防策を見出すための検討をおこなった。

検討項目は空腹時血糖、HbA1c、血圧、BMI(肥満度指数:body mass index)、体脂肪率、運動能、体力年齢、摂取エネルギー、消費エネルギー、動物性脂肪の摂取量、糖分摂取量などである。境界型とそのコントロール群との比較では、血圧、BMI、体脂肪率が境界型で高値を示した。境界型と糖尿病との比較では、境界型の方が年齢が若く、HbA1cの値も低かった。一日糖分摂取量は糖尿病群の方がむしろ少なかった。

かねて報告されているように、BMI、体脂肪率の高値が高血糖の原因、血圧上昇については高血糖が原因と結論づけた。

医学的介入の困難性から、糖尿病予防は医療界だけでなく社会全体でとりくまなければならない問題であることにも言及した。


はじめに

沖縄県の男性の平均寿命は年々順位を下げ、全国でも26位となってしまった。健康対策への真剣な取り組みが必要な状況となっている。沖縄労働局の発表によると、平成14年の定期健康診断の有所見率は、日本全国の46.69%に対して、沖縄県のそれは58.23%と、沖縄県は11.54%も有所見率が高いと報告されている1)。血糖値検査においても全国の8.32%に比べ、沖縄県のそれは9.06%といわれている1)。

日本糖尿病学会は糖尿病を「インスリン作用不足により起こる慢性の高血糖を主徴とする、特徴のある代謝異常をきたす疾患群」と定義している。糖尿病者の45%しか治療を受けていないといわれている現状では、ましてや境界型となると、糖尿病予備軍としての意識は低い。

われわれは2型糖尿病の予防には、境界型(健康度測定受診者の中で空腹時血糖値が110〜125mg/dlにある者。アメリカ糖尿病協会ADAのいうIFG:impaired fasting glucose)の健康度測定結果を解析することによって、糖尿病の危険因子と予防策を見出だすことができるのではと考え調査研究をおこなった。本稿では、われわれの調査研究結果を紹介するとともに、沖縄県医師会が取り組むべき課題は何か考察したので報告する。

I 対象と分析方法

生活習慣の是正を具体的にはどのようにすればよいのかを明らかにする目的で、検診者の検討を計画した。検討例は2001年、2002年に沖縄県健康増進センター健康度測定室で検診をうけた男性169例である。うち36例が空腹時血糖が126mg/dl以上の糖尿病例、52例が空腹時血糖が110mg/dl以上、126mg/dl未満の境界型例(ADAのいうIFGということになる)、糖尿病群と境界型(ADAのいうIFG)群との年齢差が3歳以内の血糖値110mg/dl以下の者ほぼ同数例をそれぞれのコントロールとした。

検討項目は年齢、空腹時血糖値、HbA1c、血圧、BMI、体脂肪率、運動能(上体起し)、体力年齢、摂取エネルギー、消費エネルギー、動物性脂肪摂取量、糖分摂取量などである。

データは、糖尿病群、糖尿病境界型群、これらに対応したコントロール群に分け、有意差を判定した。

II 結果(Table 1)

糖尿病とそのコントロール群の間では、血糖値、HbA1c、血圧(p<0.05)、体力年齢(p<0.05)、一日の摂取カロリー量が有意差を示した。

境界型群と糖尿病群との比較では、境界型群の方が若年(p=0.001)で、HbA1cの値も低かった(p=0.000)。一日糖分摂取量は糖尿病群でむしろ少なかった(p=0.013)。その他、上体起こしについては、p=0.022で糖尿病群は体力の低下を認めるが、体力年齢/実年齢は有意差がないので、この低下は加齢(平均年齢の差)を反映したものと解釈した。

境界型群とそのコントロール群との比較では、収縮期血圧(p=0.022)、拡張期血圧(p=0.029)ともに境界型が高値であった。この他、境界型群がBMI(p=0.001)、体脂肪率(p=0.008)とも高値を示した。運動についてのデータ(運動消費エネルギー、上体起こし、体力年齢/実年齢)、摂取エネルギーに関するデータ(摂取エネルギー、摂取砂糖量、摂取動物性脂肪量)には有意差を認めなかった。BMI、体脂肪率については高血糖の原因、血圧上昇については高血糖が原因と考えた。Table 1に結果のまとめを示した。

Table1


 

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