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■報告
第25回産業保健活動推進全国会議に参加して

常任理事 安 里 哲 好
常任理事 安 里 哲 好 氏

去る9月18日(木)、日本医師会館にて厚労省、日本医師会、労働福祉事業団、産業医学振興財団主催でみだし全国会議が開催された。

今回の全国会議で印象に残ったのは、小規模事業所の産業保健活動をどの様に推進していくかという問題である。事業場規模が小さくなるに従い、健康診断の実施率、受診率が低下し、健康診断における労働者の有所見率が高くなる。そのことは、過去10年間において、経年的にまったく改善されていない。

平成5年から地域産業保健センター事業が開始し、小規模事業所における産業安全衛生の水準向上に資することを目的として労働基準監督署の管轄地域に一致して、全国347ヶ所に設置された事業である。しかし、スタートから10年を経過した現在の活動状況は極めて低調であるとの指摘があった。ちなみに、全国の地域産業保健センターの1センターあたりの平成14年度の平均健康相談実施回数(年間)は63回(166名)、その内個別訪問実施回数は33回、沖縄県はそれぞれ75回(92名)と57回であった。平成14年度(2002年4月〜2003年3月)に県下各地域産業保健センターに直接訪れたのは0〜202名であった。

かような状況下で、色々な取り組みと提案がなされた。1)企業形態別に5種類に分け、類型に応じて対応する。2)小規模事業所が法的に義務づけられている事項から、努力義務として勧奨されている事項まで、実際に進めやすい産業保健のステップが検討された(ステップ1−9)。3)地域産業保健センターの活性化:(1)活動の実質的な中心とその協力者。(2)予算 (3)コーディネーターは医師会事務職員の兼務では限界があり、企業との連携を担当できる専任の者が必要である。(4)使用者団体等を含めた関係機関との連携。(5)活動内容:窓口で健康相談を受けるために待機している活動よりも、事業所を訪問して健康相談や健康教育を実施する活動を一層強化すべきである。(6)相談医の活動を産業医生涯研修の単位として認定すると同時に専門家臨床科目によるネットワーク作りが望まれる。保健士や栄養士を活用し、より活性化するためには常勤かを検討することが望ましい。(7)地域における実態の把握:地域産業保健センター管内の有資格産業医や被選任産業医のリスト、および産業医を選任してないが健康診断を実施している事業所のリストが作成される必要がある。4)労働衛生教育の推進:事業主、衛生管理者、衛生推進者を中心とした研修会が望まれる。

最後に、「事業主の立場からの産業保健活動への期待」と題しての発表は胸を打つものがあった。昭和22年に創業した会社で、昭和60年から平成6年ごろまでに肺がん1名、検診で良好であったにもかかわらず半年後に亡くなった方を含め胃がん3名、心筋梗塞1名等で命を落としており(その内で36歳1名、45歳1名と若い方も含む)、そのことを強く感じ愕然とされ、実に人間の健康維持は難しいものだと思われ、早い時期より医師会の支援による相談医制度を設けた。ご本人もTHPの経営者体験セミナーに何度か参加した経験と、社員の健康診断の結果も生活習慣病や予備軍が見受けられることから、社全体で年6回のセミナーを実施することを決意し、スタートしたとのことだ。経営的にも厳しい状況にあり、産業保健サービスへの国の補助金等の継続的な支援を受けられるような環境作りを切に希望されていた。

当県では、毎年25名前後の認定産業医が誕生している。50名以上事業場規模の産業医選任率は70%前後である。その選任率の向上に加え、小規模事業所の産業保健活動の推進が望まれ、予算やコーディネーター等の多くの難問があるが、中心的役割を担うのが、地域産業保健センターの使命かと再認識した。まずは、地域における実態の把握(認定産業医の実数と実際に産業医活動をしている実数)とコーディネーターの育成から始めたいものだ。

以下、会議の概要について次のとおり報告する。

I.開 会

定刻となり、産業医学振興財団の鹿毛事務局長から開会の案内が行われた後、主催団体の挨拶があった。

坂口厚生労働大臣(代読)から「第25回産業保健活動推進全国会議の開催にあたり、一言ご挨拶申し上げる。本日お集まりの皆様方におかれては、平素から厚生労働行政の推進に多大なる支援、ご協力をいただいているところであり、この場をお借りして厚く御礼申し上げる。

さて、最近の労働者の健康状態をみると、定期健康診断による結果、何らかの所見を有する労働者が4割を超えている。また、いわゆる過労死による労災認定事案が増加する傾向にある。さらに現在の厳しい経済情勢の下、職場において強い不安や悩み、ストレスを感じている労働者も少なくない状況にある。

こうした状況を踏まえ、厚生労働省としては、過重労働による健康障害防止対策、職場におけるメンタルヘルス対策など、労働者の健康を確保するための対策をより一層積極的に推進する必要があると考えており、今年度より第10次労働災害防止計画がスタートした。

先般、全都道府県での設置が完了した産業保健推進センター及び地域産業保健推進センターをはじめ皆様方のご協力を得て、労働者が健康で安心して働くことができる社会の実現に向けて、なお一層努力して参りたいと考えている。最後に産業保健活動の推進に多大なるご協力をいただいている日本医師会、労働福祉事業団、産業医学振興財団、その他関係者の皆様方に深く感謝申し上げるとともに、本日お集まりの皆様方のご健勝を祈念したい。」と挨拶を述べられた。

また、坪井日本医師会長(代読)から、「本日ご参集の先生方には、日頃から各地域において、産業保健、地域医療の発展のために、ご貢献をいただき、心から感謝している。 ご承知のとおり、我が国の情勢は経済成長の低迷と少子高齢化の進展という非常に厳しい状況にある。さらに急速な技術革新や産業構造の変化、或いは労働者を取り巻く環境も大きく変化してきた。このような状況の中で、労働生産性を高めつつ、労働者の健康と安全を確保するための方策は、これまで以上に大切なことであると考えている。日本医師会では、労働環境の変化に対応できる質の高い産業医の養成を目的として、平成2年に認定産業医制度を創設しており、これまでに5万8千人の認定産業医が誕生し、全国各地でご活躍している。特に小規模事業所の労働者の健康管理については、地域のドクターが地域医療の一環として産業保健活動を展開すべきであるという基本理念に乗っ取り、関係団体とも連絡をとり、産業保健活動の推進を図ってきた次第である。

本日の会議に建設的なご討議をいただく先生方、或いは本日の成果が、産業保健活動の向上と推進に一層役立つように強く祈念したい。」として挨拶を述べた。


 

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