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■沖縄タイムス2006年2月22日付朝刊に掲載


性感染症

「見えぬ連鎖」断つ勇気を

渡嘉敷みどり・那覇市立病院

数カ月前のことです。何となく見ていたテレビのコマーシャル、「カレシ、カレシの元カノ、カレシの元カノの元カレ…」という女性の声とともに男女が交互に出てきて、最後は「エイズなんて関係ないと思ってた…」ということで、検査は身近なところで必要となっていることを訴えているものでした。そのときはなるほどねと軽く流して見ていたのでした。私の周りではあまりこのコマーシャルは知られていませんでしたが…。

それからしばらくして外来に、クラミジア検査を希望して二十代前半の方が受診されました。最近は女性雑誌などにも、今一番身近な性感染症ということで「クラミジア」が取り上げられるようになりましたが、まだ一般的に知られていないことも多い中、自ら検査を希望してきたのは産婦人科医としては逆に気になるところでした。

きっかけはまさに前述の「元カレ」でした。その「今カノ」がクラミジアに罹患したとのことで、自分のことも気になり受診した次第でした。果たして、結果は陽性でした。もちろん治療後陰性化しましたが、ふとあのコマーシャルが頭をよぎり、とても衝撃的な出来事でした。エイズというとやはり怖い病気としての認識があるでしょうがそれでもやはり人ごとのような感じがしているでしょう。

クラミジアは現在、性感染症の中で頻度が高いため、こういう連鎖は十分あり得ることです。クラミジアは症状がないことも多いため、あまり怖い病気という感じがしないかもしれません。確かに、適切に抗生物質を使用すれば治療可能です。ただ、症状がないために治療せずにいると、骨盤腹膜炎などの炎症性疾患を起こしたり、将来的に不妊症の原因になることもありますし、子宮外妊娠を起こしやすくなったりということが分かっています。

男性の方はあまり症状がないことが多いので、検査・治療を受ける機会が少ないのかもしれません。残念なことですが十代後半から二十代の女性の罹患率はこのところ増加傾向にあります。これから妊娠出産を控える年齢の女性にこうした疾患が増えているというのは、非常に憂鬱なことでもあります。

自分の体をよく知り、大事にする意識を持つことが改めて重要な時期に来ているのかもしれません、もちろんそれは、パートナーのためにも。性感染症の「見えない連鎖」を断ち切る勇気を持ちましょう。


 

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