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■沖縄タイムス2006年1月18日付朝刊に掲載


小児救急

親との「人間関係」が不可欠

那覇市立病院・屋良朝雄

小児救急診療に関するアンケートを行いました。保護者の小児救急医療へ期待する意見は次の順序でした。

 (1)いつでも必ず診てもらえること。

 (2)担当医が小児科医であること。

 (3)待ち時間が短いこと。

 (4)高度医療であること。

 (5)病院までの距離が短いこと。

これらについて意見を述べたいと思います。

沖縄県の小児救急医療は現在、各県立病院、那覇市立、協同、南部医師会輪番(六病院)などで行われ、他府県に比較すると間違いなく充実しており、たらい回しはまずないといわれています。さらに、これらのいくつかの病院によっては、二十四時間フルタイムで小児科医による小児救急診療が行われています。

我慢できる診察待ち時間は?の問いに、89%の保護者は一時間以内と答えています。しかし、インフルエンザ流行時や重症患者がいると複数医師で対応しても待ち時間が二-三時間のこともしばしばです。重症例を見落とさぬよう細心な注意を払いながら速やかにさばいてゆくのが小児救急の極意だと思いますが、なかなか難しいというのが本音です。

最重症例を扱う高度医療と無制限の初期小児救急医療は、いずれもマンパワーを要するため両立は困難かもしれません。

救急センターまでのアクセスについては(大多数は三十分以内を要望)、今後小児救急施設が集約(効率化)されてくると、ある程度犠牲になるかもしれません。その他、沖縄県の小児救急医療は、現在までどうにかこうにか大過なく行われてきているように思います。しかし、患者側の要望はいよいよ強まり、それにこたえる小児科医はマンパワー不足で、現状を維持するのは決して容易ではありません。

子どもがうめき、親は不安な夜を迎え、眠れない夜、医師も必死です。救急医療は、こんな患者と医師が、初めて対峙する場でもあるのです。信頼関係も確立しておらず、医療側へのクレームが多いのも事実です。「医師から見れば軽症でも、親にとって重症であればやはり救急の患者である」ことをよく理解し、医療側はその不安を取り除いてやることが大事だと思います。

一方、使命感の軽重はあるにせよ、私たちは、この修羅場で人格形成が試され、これも修行であるのだと思い込もうとしている人間小児科医です。"かりそめ"診療になりがちなこの空間だからこそ、患者(親)と医師、善い人間関係が必要なんですね。

眠れない夜、来院した子どもたちが大丈夫だったかと気に掛けながら、夜明けをいとおしく思う小児科医である。


 

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