消化管出血の内視鏡検査

◆ハーリー(六月)

手術しないで止血も可能

 消化器の内視鏡検査は胃や腸からの出血の原因を探るのになくてはならない検査です。 胃内視鏡の方は当初、先端にマイクロフィルムを入れたカメラが付いていたので現在でも胃カメラといったりしますが、 実際には皆さんが使っている家庭用ビデオカメラと同じように先端にCCDをつけ、 テレビ画面で見る機種が現在の主流です。 検査を受けながらテレビ画面でご自分の胃や腸の中をご覧になった方もいるでしょう。
 内視鏡検査は出血の部位や病気の診断だけでなく止血治療ができるようになっています。 すべて内視鏡で治療できるわけではありませんが、手術しないで止血できるのですから、 回復の度合いは全然違います。
 出血を起こす病気で内視鏡治療可能な主なものは、胃や十二指腸潰瘍、静脈瘤、ポリープ(イボのようなもの)があります。 ポリープからの出血の場合、ポリープの首をしめながら焼き切るポリペクトミーと呼ばれる方法がとられます。 潰瘍は胃や腸の内面にできた傷のことでご存じの方も多いことでしょう。 静脈瘤という言葉は耳慣れないかもしれませんが、胃や食道にできる拡張した静脈のことです。 肝硬変などで肝臓から心臓への血液の通過が悪くなると、胃や腸、脾臓など腹部の臓器からの血液は一部肝臓を経由せずバイパスを通って心臓に戻りますが、 そのバイパスとなっているのが静脈瘤なのです。
 静脈瘤や潰瘍からの出血をどのように内視鏡治療をしているか、もう少し説明します。 現在広く行われている内視鏡を利用した止血方法としては、アルコールや接着剤、凝固剤などの薬剤を注入する方法と、 金属のクリップやゴムバンドなどの小道具を使う方法があり、レーザーを使う方法は機器が高く、 あまり一般化していません。
 どの方法を使うかは、出血の原因となる病気の種類、場所、大きさに左右されます。 アルコールは潰瘍からの、その他の薬剤は静脈瘤からの出血を止めるのに主に使われます。 しかし、静脈瘤からの出血に対してはこの四年、五年、さらに簡便は方法としてバンドでしばってしまう方法が一般的となりました。 バンドでしばると、そこから先の血流が途絶え、血が固まって止血できます。 バンドもゴムバンドと留置スネアと呼ばれるより大きなバンドと二種類があり、用途に合わせ使われます。 金属クリップによる止血もここ四年、五年普及してきました。 直接出血血管を狙って、あるいは潰瘍を閉じてしまうようにクリップして止血します。
 これらのクリップやバンドは後で取れて大便から排泄されてしまいます。 そのころには止血した場所は完全に治っているのです。
 このように内視鏡による止血治療は少しずつ進歩しています。 無論手術に頼らざるを得ないこともあり、病気の種類や場所、大きさだけでなく、 各施設で慣れ親しんだ方法も異なり、一概に治療法は決まりませんが、今後ますます患者さんの負担軽減に役立つ治療法です。

(金城 光世)

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