子供の健康
    ◇学校保健◇
    学校心臓検診 突然死の予防にも意義

     新学期が始まり少し落ちついたころですが特に新入学の児童や中学、高校の生徒では種々の身体 検査が施行されその結果が報告される季節です。そこで今日は学校心臓検診について理解していた だくため、概要を話したいと思います。
     学校における健康診断は学校保健法(昭和三十三年)に従って毎年実施されていますが、昭和四 十八年に学校保健法施行規則が改正され、心臓検診は検尿とともに必須項目の一つになりました。 学校心臓検診の目的として@心疾患児を発見し正しい診断をつけるA必要に応じ治療し重症度によ り学校での管理区分を決めるB学校において心疾患を理解するC適切なフォローアップを行うーこ となどが挙げられます。心臓検診システムは問診表を含め学校医の診察を中心に現在、小学校一年 生、中学校一年生、高校一年生全員を対象に行われています。聴診による心音の異常や心電図を基 にスクリーニングを行い、一次健診で異常の疑いのある者を選抜し、二次健診や必要に応じ専門医 に高度の精密検査を勧めています。
     心雑音には心臓の器質的障害を伴わない機能性(無害性)雑音と、実際に心疾患を伴う器質性雑 音があります。機能性雑音は特に児童、生徒によく見られる軽度の雑音でそれ自体特に問題はあり ません。機能性雑音が器質性雑音としてピックアップされることもありますが熟練した医師であれ ば鑑別は可能です。しかし機能性雑音と間違いやすい心疾患として心房中隔欠損症、肥大型心筋症、 肺動脈弁狭窄症、大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症などがあり注意を要し、この場合は胸部X線、 心電図、心臓超音波検査など専門医の診察が必要です。また川崎病の既往のある学童、生徒でまだ 一度も超音波による冠動脈検査を受けてないときは検査が必要です。
     心電図はコンピューター自動診断によるスクリーニングを行っていますが、見落としを少なくす るため疑陽性者も多く心電図判定委員会で検討し必要に応じ精査します。心疾患を伴わない期外収 縮は治療を要しない良性のものがほとんどです。しかし学童期の突然死の中で最大の原因である肥 大型心筋症やQT延長症候群は学校心臓健診の心電図で発見される場合が多く、突然死の予防の意 味からも重要な意義をもっています。
     生活面ではすでに心疾患が判明していたり、手術後の場合では主治医とよく相談した上で学校で の管理指導が必要です。冠動脈後遣症がない川崎病は運動制限は不要で、小児の発達の面からも可 能な限りスポーツをする機会を与え、不必要な運動制限を解除したいものです。
     児童、生徒は自身の心疾患の程度がまだよく理解できていないことが多く、また学校側も必要以 上の運動制限を行ったり、逆に過度の運動量を課している場合もあり正しく心疾患を理解、把握す るために保護者、学校現場の教師、養護教諭、学校医および心臓専門医相互間のコミュニケーションを計ることが大切と思います。
我那覇 仁