■琉球新報99年11月12日付夕刊に掲載 

咳が数ヵ月治らない

問い  今年一月に風邪をひいて以来、咳(せき)が治らなくて困っています。毎日せき込むというわけではありませんが、月に一回以上の頻度で、咳が出始めるとしばらく続きます。ときに少量の痰(たん)が出ることもあります。以前は、まったくこのような症状はありませんでした。最近結核が増えていると聞き、不安なので内科を受診したところ、血液検査は異常なしでした。気になるなら、レントゲン撮影と耳鼻咽喉科受診を勧められました。レントゲンは撮らずに、血液検査だけで安心していいのでしょうか。

 (33歳・女性) 

<答えるドクター>
下地克佳(下地内科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

結核、ぜんそくを疑う/まずはレントゲン撮影を
答え
 咳は呼吸器の病気では最も一般的な症状です。情報が風邪症状後に長引く咳だけですので、多くの病気の可能性を考える必要があります。長引く咳の患者さんを診る時、どのような事に気を付け、どのような手段で診断していくかお話ししたいと思います。
 まず、二、三週間以上続く咳の場合は、原則的に胸部レントゲン写真を撮ります。肺腫瘍(しゅよう)、肺結核、特殊な疾患(間質性肺炎など)のような重大な病気を見逃さないためです。肺結核は、咳以外に倦怠(けんたい)感、食欲不振、寝汗、微熱などを伴いますが、咳のみのこともあります。もちろん、血液検査が正常のこともあります。また、間質性肺炎が風邪をきっかけに発症することもあります。持続性の咳と息切れが特徴的です。ぜひ、レントゲン検査は受けてください。その時、ペット、小鳥の飼育歴、職場の環境、アレルギー歴、喫煙歴の情報が参考になります。レントゲン写真が異常ない時は、下記のような疾患を考えます。
 一度は耳鼻咽喉科で、慢性副鼻腔(びくう)炎(鼻水がのどを伝わって降りて咳を誘発します)、声帯ポリープなどがないか診てもらう必要があります。ある種の降圧剤によって誘発される咳も、風邪をきっかけとして発症することがあります。
 風邪の後に長引く咳の時、特に多いのは下記の三疾患です。
 クラミジア・ニュウモニエ(細菌とウイルスの中間の微生物)による気管支炎は、微熱もしくは平熱で長引く咳のことがよくあります。ある種の抗生剤がよく効きます。
 咳喘息(ぜんそく)は、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難を伴わず、特に夜間、早朝に連続する割と激しい咳が見られます。のどのイガイガ感を伴い、日中でも冷気、受動喫煙、運動などで咳が誘発されます。気管支拡張剤、ステロイド吸入剤が効果的です。
 風邪症候群後慢性咳嗽(がいそう)は、咳の原因となる疾患がなく、風邪をひいた後、三〜八週間以上続く咳となっています。女性に多い傾向があります。咳は夜間、早朝に多いようです。
 レントゲン写真も異常なく、上記のような咳の原因を検討し、治療しても咳が止まらない時はごくまれに、気管支内結核、腫瘍、異物を考えて気管支鏡検査を施行することもあります。
 質問者の場合、クラミジア・ニュウモニエ気管支炎、咳喘息、風邪症候群後慢性咳嗽の可能性が高いと思いますが、病気を特定せず、重大な病気を見逃さないように、診断、治療を進めていくことが必要と思われます。最寄りの呼吸器専門の診療所、病院でご相談ください。


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