■琉球新報99年10月22日付夕刊に掲載 

十年間もひどい耳鳴りに悩む

問い  戦後復員してから耳が聞こえづらく難聴気味でしたが、十年ほど前からはひどい耳鳴りで苦しんでいます。両耳とも大型モーターが回っているような感じで、夜は眠れず、睡眠薬を飲んでいます。あちこち耳の専門の病院に行きましたが、「これ以上は良くならない」とダメでした。補聴器をつけている時は気が紛れますが、つけていない時は耳鳴りもひどくなります。少しでも良くなる方法はありませんか。

 (男性) 

<答えるドクター>
仲程一博(宜野湾記念病院耳鼻咽喉科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

自覚的か多覚的か区別を/生活上の悪化要因も減らして
答え
 耳鳴りには大きく分けて二種類あります。一つは自分自身だけに聞こえる自覚的耳鳴り。もう一つは自分だけでなく他の人にも聞くことのできる他覚的耳鳴りです。耳鳴りが起こった時はこの両者を区別することがまず大切です。
 静かな場所で自分の耳鳴りを聞いてみてください。その際、耳鳴りにリズムがないかどうか、さらに自分の脈拍と同じリズムかどうかを調べます。脈拍と同じリズムの耳鳴りは典型的な他覚的耳鳴りで、血管系の異常による原因が考えられます。また耳の中の小さな筋肉のけいれんで起こる耳鳴りもまれにあります。この他覚的耳鳴りは、原因や障害部位の診断が比較的容易で、原因に即した治療を行うことが可能です。
 しかし、ご質問の方もそうだと思いますが、多くの場合で耳鳴りにリズムのないことがほとんどです。このような自覚的耳鳴りは原因や障害部位の診断が極めて困難です。外耳から中耳、内耳、脳幹、大脳へ至る聴覚経路は大変複雑で、耳鳴りはこの経路のどの部位が障害を受けても発生すると考えられています。医学が進歩した現在でも、耳鳴りの発生するメカニズムはいまだ不明のままですし、その障害部位診断も確立されていません。
 したがって、現時点における耳鳴りの治療はそのほとんどが対症療法となります。具体的には、ビタミン剤や循環改善剤などの薬物療法、人によっては漢方薬が奏功することもあります。適度のノイズを聞かせることにより耳鳴りを抑制するマスカーも使用されます。局所麻酔剤のキシロカインの静脈注射は、一時的ですが多くの耳鳴りに有効と考えられています。
 また特殊な治療法として、中耳内にキシロカインやステロイド剤を注入する方法や、星状神経節ブロックを行う施設もあります。どの治療法を選ぶかは耳鼻科専門の主治医の先生としっかり相談しましょう。また難聴で補聴器をつけているとのことですが、難聴の経過観察や補聴器の調整も同様に大切です。
 ご本人も、できる範囲で耳鳴りに向き合ってみてください。ご自身の日常生活をあらためて振り返ると、意外に耳鳴りが変化する出来事があることに気づくものです。睡眠不足や過労、ストレスの後は耳鳴りがひどくなっていませんか? 逆に散歩中や趣味に打ち込んでいる時は耳鳴りを忘れていることも多いものです。このように耳鳴りの変化をチェックして、日常生活の中で耳鳴りを悪化させる要因をできるだけ少なくし、改善させる要因を多くする努力を自分自身でも続けることは大変有意義だと考えます。


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