■琉球新報99年10月15日付夕刊に掲載 

2、3分おきに痰が出る

問い  四、五年前から頻繁に痰(たん)が出て、困っています。二、三分に一度と、あまりに回数が多いため、人前では仕方なく飲み込んでいます。寝る前や朝起きた時によく出ます。痰は粘りのある場合もありますが、ほとんどは、つば同様の無色です。集団検診や耳鼻科で検査をしたところ、異常なしとのことでしたが、私としては悩んでいます。治す方法があったら教えてください。

 (女性) 

<答えるドクター>
狩俣陽一(かりまた内科医院) ・・・・・・・・・・・・・・・・

ブロンコレアに似た症状/専門医で唾液との鑑別を
答え
 質問者の症状は、ブロンコレア(気管支漏)によく似た症状です。
 ブロンコレアとは、一日百ミリリットル以上の水様性、卵白様の痰(たん)を大量に喀出(かっしゅつ)する病態です。このような状態は気管支ぜんそく、慢性気管支炎、気管支拡張症、気管支結核、肺胞上皮がんなどに併発することが多いといわれています。その原因がはっきりしない場合、特発性ブロンコレアといわれます。ブロンコレアでは、回数が多く大量の痰に患者は年余にわたって悩まされます。
 検診や耳鼻咽喉科で診察しても異常がないとのことで、前述した病気の中で結核やがんは考えにくいと思います。
 ブロンコレアの診断には、痰が一日に百ミリリットル以上喀出されていることを確認する必要があります。この時、喀痰の性状は特徴的で、蓄痰をすると卵白様の外観を呈し、上層は白色に泡立っています。
 気管支の細菌感染や肺炎などでも喀痰は増えます。この場合は、細菌の細胞成分が多いため黄色や赤褐色の色調をしています。また、先に述べた種々の気管支の病気で、喀出困難な粘調な痰が見られます。これらの場合はブロンコレアとはいいません。
 質問者は「カーッ」と力を入れないでも口中に痰がじわじわと湧(わ)き出てくる感じを訴えています。このような口中の分泌液の出方は唾液(だえき)の出方によく似ています。唾液は耳下腺(せん)や顎下(がっか)腺から湧き出るように分泌されます。質問者の訴えはこの状態にも似ていますので、唾液との鑑別が必要です。
 人前で吐くこともできずに仕方なく飲み込んでいるようですが、通常健康な人でも一日に五十ミリリットルから百ミリリットルの痰が出ており、この痰は気管支に吸入された空気中の細菌やほこりを浄化するという働きがあります。また、種々の有害物質から気管支の粘膜や肺胞を保護しています。
 痰の中には免疫グロブリンや種々のタンパク質、電解質、生物学的活性化物質が含まれていて、呼吸器が正常に働けるようにしているのです。また、飲み込まれた痰は消化器の中で役立つ働きをしているとの研究もあります。
 唾液にも消化を助ける働きと同時に種々の免疫作用があることが分かっています。痰や唾液は通常はすべて無意識のうちに飲み込まれているのです。神経質な方で痰やつばを飲み込むことに抵抗をもっている方も時々います。
 ブロンコレアと診断されたら、呼吸器専門医による治療が必要です。治療は副腎(じん)皮質ステロイドの内服が一般的ですが、エリスロマイシンの内服やベクロメタゾンの吸入も試みられています。
 まず、かかりつけ医に相談して、通院しやすい専門医のいる医療機関を紹介してもらうのが最も良い方法だと思います。


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