■琉球新報99年6月18日付夕刊に掲載 

手やわきの多汗症に悩む

問い  多汗症で悩んでいます。手やわきとか、とにかく体全体に汗が出過ぎるほどです。それと、ワキガなのか、わきが臭いんです。中学校くらいから気になっていて、毎日大変です。多汗症とワキガを治すには、やっぱり手術しないといけないのでしょうか。手術の費用はいくらくらいなのでしょうか。教えてください。

 (18歳・女性) 

<答えるドクター>
久田友治(琉球大学医学部手術部) ・・・・・・・・・・・・・・・・

神経遮断術は効果確実/問題点は代償性発汗
答え
 多汗症にもいろいろありますが、外科医が治療できる多汗症は手に汗が多い場合、すなわち、手掌(しゅしょう)多汗症です。これは原因が不明で、子供のころから「手に特に汗をかく」「緊張した場合に多く汗が出る」というのが特徴です。
 胸の奥のほうにある神経(交感神経)を切れば手の汗が止まるということはわかっており、以前からその手術(交感神経遮断術)は行われていました。昔は大きな傷でしか手術が行えませんでしたが、最近は技術の進歩で胸腔鏡(きょうくうきょう)を使えるようになり、小さい傷で手術が行え、患者さんの体の負担も少なく、また美容的にも優れた手術になりました。また保険適応にもなり、この手術が増えてきています。
 手術の効果はほぼ確実で、手の汗はほとんど一〇〇%の人で止まります(足裏の汗は半分くらいの人で減る、ワキの汗についてはさらにその半分くらいの人で減る)。また全身麻酔でしなければいけない手術ですが、安全性の高い手術です。手術の合併症としては、痛み、出血、気胸、ホルネル症候群などがありますが、これらは頻度としてはとても少ないものです。
 このように効果が確実で安全性の高い手術ですが、問題点もあります。すなわち手の汗は止まるものの、他の部位、例えば腹や背中、腰などに汗を多くかくという現象、つまり代償性発汗がほとんどの人で起こります。代償性発汗の程度は人によりさまざまで、長年の悩みであった手の汗が止まったので、あまり気にならないという人から、逆に代償性発汗の程度がひどく、手術前のように戻してほしいという人もいます。
 先日、交感神経遮断術に関する国際シンポジウムがあり、私も参加しましたが、その時話題になったのもこの代償性発汗をいかに減らすかということでした。残念ながら、決め手といえるようなものは出なかったのですが、将来、手術法の工夫によりこの代償性発汗が少なくなると期待しています。
 以上のことから、「手術をしないといけないのでしょうか」とのご質問については、「医師とよく相談して決めてください」との答えになります。
 手術の費用は入院が二泊三日の場合、退院時に窓口で八―十二万円くらい(保険によって違う)支払うことになりますが、後で払い戻しがあるので、結局、患者さんが負担するのは約六万円だそうです。
 琉大病院では、近いうちに入院期間を一泊二日にできるような、いわゆるデイサージェリー(日帰り手術)の体制を準備中です。治療としては、この手術以外にイオントフォレーシスという方法もあり、これは当院の皮膚科でできます。


<健康相談室>メニューヘ