■琉球新報99年6月11日付夕刊に掲載 

腹痛が毎日、検査でも不明

問い  二年前の胆石手術後から時々腹痛があります。二カ月前からは毎日ずっと腹痛が止まらず、苦しい思いをしています。数カ所の病院で胃カメラやCT検査を受けましたが、持病以外の病気は見当たらず、ストレス性ではないかと診断されました。持病は、ぼうこうポリープ(七年前から五回手術)とC型肝炎です。鎮痛剤も使えないと言われ、鈍い痛みと時々絞られるような痛みに、座布団を抱いて苦しんでいます。いったい何の病気でしょうか。最近は腹水がたまっているといわれています。

 (68歳・男性) 

<答えるドクター>
知花朝美(沖縄赤十字病院外科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

原因は三つ考えられる/胆のう摘除後症候群、腸管癒着症、慢性膵炎
答え
 「腹痛」をきたす疾患は多く、その中でも、精密検査で原因が発見できない腹痛は、医師にとって根気のいる対応を必要とします。ご質問では、胆石手術後に出現した慢性に反復する腹痛で、精密検査も受けられたとのことですので、明らかな腫瘍(しゅよう)性疾患、炎症性疾患、全身疾患などを除き考えたいと思います。そうすると、三つの場合が考えられます。
 一つは、胆石症の診断・手術と関連した場合で、胆のう摘除後症候群と呼ばれる疾患です。胆のう摘除後に、上部不快感、悪心、腹部膨満、あるいは腹痛や黄疸(だん)、発熱などの症状が出現する病態です。しかし、そのほとんどは、その時点での精密検査では不明だった遺残小結石の総胆管結石や、総胆管結石再発で、その他は、胆道狭さく、十二指腸憩室などです。経過観察の精密検査で明らかになることが多いです。しかし、種々の検査で原因不明の場合もあり、注意深い経過観察と根気よく原因追求することが重要です。
 二つ目は、開腹手術の際、避けられない腸管の癒着形成です。しかし、癒着を形成しても、ほとんどは無症状です。慢性の腹痛、腹部膨満感を訴える場合に、腸管癒着症と診断します。食事と関連することが多く、食後に出現し、通常、絶食で軽快します。症状が強くなり、腸閉塞(へいそく)の所見が出現したら、入院治療を必要とします。腸管癒着症の治療は、消化管運動機能調整剤、整腸剤、漢方など、各個人に合うもので調整します。
 三つ目は、今まで潜在していた病態が症状を表した場合で、早期の慢性膵(すい)炎と過敏性腸症候群などです。
 早期の慢性膵炎では検査で異常を見つけられない場合もあり、腹痛を起こし、慢性膵炎を疑える場合には、繰り返し、膵酵素を測定し、膵管造影検査の経過観察も必要となります。
 過敏性腸症候群は、器質的病変がなく、便通異常、腹痛、腹部膨満感など、腸管機能異常の腹部症状を起こす病気で、他の病気を除外することが前提です。ストレスや食習慣、生活習慣と関連があるといわれます。特別の治療はなく、個々の病態に対応した治療法がとられます。
 どうしても原因が発見できない腹痛は、患者さんにとっても苦痛ですし、医師は難渋します。そこで重要なことは、規則正しい生活習慣を心掛け、根気よく腹痛を調整し、根気よく原因追求の経過観察を行うことです。あきらめることなく、治療を受けている慢性肝炎、腹水とともに、消化器専門医の診断を受け、相談してください。


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