■琉球新報99年6月4日付夕刊に掲載 

左目に血管が浮き出ている

問い  二年前から左目に血管が浮き出ています。鼻側から眼球の中心にかけて、長さ一センチ、幅二ミリほどの細い血管で、物を見るのに違和感はありませんが、気になって仕方ありません。二つの眼科で診てもらい、「しばらくしたら消えるのでは」「ひどくなったら手術する人もいる」ということで、「サンコバ」という点眼薬を一日三回差しているだけです。さらに悪くならないかと心配です。仕事中は老眼鏡をかけていて、目は疲れやすい方です。

 (55歳・女性) 

<答えるドクター>
宮良長治(沖縄赤十字病院眼科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

瞼裂斑か翼状片か/単なる血管拡張の場合も
答え
 ご質問の文面から推定すると、@瞼裂斑(けんれつはん)A翼状片(よくじょうへん)のいずれかが考えられます。
 瞼裂斑というのは、角膜(黒目の部分)の両わき、時計でいうと三時、九時の結膜(白目の部分)にできる薄黄色い盛り上がりで、それ自体は何の悪さもしませんが、時々充血、異物感などの炎症を伴い、そうなると瞼裂斑炎といって点眼などの治療が必要になることがあります。この瞼裂斑が角膜に侵入し始めたものを、翼状片といいます。
 瞼裂斑も翼状片も原因は不明ですが、特に翼状片はまぶたに隠れる上下の結膜からの発生がないこと、屋外で働く人に多く見られることから、紫外線やほこりなどの外部からの刺激により発症する可能性が高いといわれています。
 翼状片は多くの場合進行性で、一度発症すると、何年もかけて次第に大きくなり、角膜の中央部にまで伸びて瞳孔(どうこう=ひとみ)にかかり、視力を著しく障害することがあります。そこまでいかなくても、角膜を変形させ、乱視(物が二重に見えたりする)の原因になります。一般的には、鼻側の結膜からの発生が多いのですが、まれに耳側や、鼻・耳両側からの発生もあります。
 翼状片で外来を受診される方は、視力低下を伴った重症の場合はまれで、充血や盛り上がりによる美容上の問題(周りの人から目が赤いといわれる)や、異物感が気になるという訴えがほとんどです。
 治療は、完治させるには今のところ手術しかありません。点眼薬はわずかに充血を軽快させる程度です。しかし、以前の手術は再発が多く、手術を繰り返すほど悪化し、完治が困難な例もありましたが、現在は結膜弁移植法という再発を極力防止できる手術があります。手術は通院で可能です。翼状片ではなく、瞼裂斑でも盛り上がりや充血が強いと手術の適応となることもあります。
 現在サンコバという点眼剤を使用されているようですが、これは老眼などによる疲れ目に対するもので、翼状片や瞼裂斑には効果がありません。四十歳も後半になると老眼は避けられないため、もし見づらければ、正しい眼鏡合わせと、目を酷使せず適当な休息をとることも重要です。
 文面から判断して充血も強くないようですから、仮に翼状片であっても重症とは思えませんし、単なる眼球結膜(白目の部分)の血管拡張ということも考えられ、それならば病的な意味は全くありません。何が一番気になっているのか、もしできればどうしてほしいのかをよくお考えの上で、眼科専門医にご相談ください。


<健康相談室>メニューヘ