■琉球新報99年5月14日付夕刊に掲載 

産後2カ月以上も続く悪露

問い  昨年十月に帝王切開で女児を出産しました。二カ月以上たっても悪露(おろ)が治まる様子がなかったので受診したところ、びらんが見られるが、しばらくすると自然に治ると言われました。念のため子宮がん検診を受けましたが、異常はありませんでした。生理も始まりましたが、終わるとまた悪露のような状態が続いています。出産以来こんな状態で、気持ちもすっきりとしません。ほかに原因があるのでしょうか。出産前は生理不順でした。

 (27歳・女性) 

<答えるドクター>
中山美奈子(琉球大学医学部産科婦人科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

原因さまざま、検査を/ホルモン異常の場合も
答え
 一般に、産後六週間は産褥(さんじょく)期と呼ばれ、この期間を経れば母体の状態が妊娠前に復するといわれています。この時期の子宮内からの排出物である悪露も、はじめは血性で量も多いのですが、次第に茶色から黄色、白色へと色調が変化し、それに伴って量も軽減していきます。ですから、今回のご質問の方のようにお産後だいぶたっているにもかかわらず、まだ出血が続いているということは、病的なものが隠れていることもあり、その原因を調べてみる必要があると思われます。
 この時期の異常出血の原因として最も多いのが、子宮内遺残物によるもの、例えば、胎盤や卵膜が子宮内に残っていたりすると異物に反応して出血が続くことがあります。また帝王切開の場合は、時に、縫合に用いた糸が吸収されず長く残って出血が続くといった経験もあります。
 このほかに、子宮膣(ちつ)部びらんや子宮頸(けい)管・内膜ポリープ、子宮内膜に顔を出した子宮筋腫(しゅ)などが原因となることもありますし、また、まれではありますが、絨毛(じゅうもう)性疾患・悪性疾患が潜んでいることがあります。これらの疾患は、婦人科的診察(内診)、組織的検査、経膣超音波検査、または必要に応じて子宮鏡検査などにより診断することができます。
 他に特別な場合として、出血傾向をもたらすような内科的疾患の合併などがありますが、これら全身的疾患は血液検査で鑑別することができます。
 以上のような疾患がいずれも否定的な場合には、機能性子宮出血(ホルモン異常による出血)ということになります。
 ご質問の方はお産後約半年を経過していますが、授乳は続けていらっしゃるのでしょうか。授乳中は、脳の下垂体というところから乳汁分泌を促すプロラクチンというホルモンが多量に分泌されています。プロラクチンは乳汁分泌促進と同時に卵巣の働きを抑えてしまう作用があるため、授乳を頻回に行っているうちは生理がなかなかきません。
 しかしながら、しばらくして授乳回数も減ってくると、生理が開始されます。ただし、生理があっても排卵は抑制されているという無排卵月経のことも多く、ホルモン値が不安定な状態では、通常の生理と違ってだらだらと出血が続いたりするのです。この場合には、まず基礎体温をつけてみて二相性かどうかで排卵の有無が推測できます。
 まだお子さんが小さく忙しい大変な時期かと思われますが、いま一度、産婦人科を受診され、上記のような検査が必要か否か質問してみてはいかがでしょうか。


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