■琉球新報99年4月30日付夕刊に掲載 

横向きに寝ると腕がしびれる

問い  半年前から、横になって寝ると毎回、右腕(肩の付け根から手のひらまで)がしびれます。痛みはなく、起きて数分もすれば徐々に回復します。腕を伸ばしたまま寝ると、何とかしびれは弱まります。昨年六月まで約十二年間、事務員として働いており、姿勢も悪かったと思います。十六年前の診察では、肩の付け根の骨がわずかに湾曲していて神経に影響しているせいだと言われました。リウマチなどの病気への影響が心配です。

 (37歳・女性) 

<答えるドクター>
山里二朗(はんびぃ整形外科医院) ・・・・・・・・・・・・・・・・

胸郭出口症候群の疑いも/整形外科で相談、検査を
答え
 四肢のしびれ感、殊に上肢(し)・手指へのしびれを主訴とする患者さんに遭遇することは、日常診療上かなり多く、その原因もまた多彩であるため、正しい診断をつけることは必ずしも容易ではありません。
 しびれの原因には中枢神経(脳)障害、脊髄(せきずい)障害、末梢(しょう)神経障害、末梢血行障害(肢への血液の流れが悪くなる)、神経炎、心因性などたくさんありますが、今回は整形外科領域で考えられる疾患、特に頸部脊椎(けいぶせきつい)症と末梢神経障害について簡単に触れます。
 しびれの原因が、頸髄レベルでの神経の障害なのか、または頸髄から神経が分布し肩から上肢・手指の末梢までの神経の通り道に障害の原因があるのか―を鑑別することが重要です。神経の通り道における障害は絞扼(こうやく)神経障害、またはわなに神経がはまる、しめつけられるという意味で陥罠(かんみん)症候群と呼ばれており、これは神経が関節部を通過する場所によく発症します。
 しびれの訴えで大変重要なことは、まず動作、姿勢(肢位)・作業動作との関係です。動作をすることによってしびれが強くなるのか軽くなるのか、特定の肢位によってしびれが強くなるか弱くなるかということです。
 頸部脊椎症による頸髄のしびれの場合、通常は起床時に強くなり、動かし始めると軽くなる傾向があります。これに対し、絞扼神経障害のしびれはどちらかというと夜型で、夜間あるいは明け方に、しびれのために目が覚めることが多いようです。しびれがいつ、どのような形でくるのかは問診をする上で大事なことなのです。
 もう一つ整形外科でしびれを来す重要な疾患に、胸郭出口症候群と呼ばれるものがあります。これは胸郭出口において頸髄から出た腕神経叢(そう)、血管(鎖骨下動静脈)が圧迫を受けてしびれを起こす病気です。これも一種の絞扼神経障害とみてよいでしょう。
 しびれの原因が首(頸髄)の部位か、胸郭出口なのか、ひじの部位(肘管‖ちゅうかん‖症候群)、手首の部位の障害(手根管症候群)なのかは、臨床症状、レントゲン検査、画像診断(CT・MRI・血管造影)など、種々の検査をして原因を突き止めますが、しびれの原因が二カ所以上の障害部位で起きる場合もあり、その時の症状はさらに多彩となり、診断をつけるのに難渋する場合もあります。
 このことから、ご質問の内容だけでは確定診断を下すことは困難ですが、長年の事務職としての作業・姿勢の影響、就寝時の肢位、いわゆるバンザイの肢位ではなく腕を伸ばして寝るとしびれが軽減することから察すると、胸郭出口症候群の疑いも考えられます。今回の場合、リウマチとの関連はまずないと思います。もう一度整形外科へ受診し、ご相談するとよいでしょう。


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