■琉球新報99年4月16日付夕刊に掲載 

腰痛の神経ブロック療法

問い  六年ほど前から、腰、おしりから脚、太ももの裏側にかけて痛みがあります。現在三十分以上座ることもできず、脚の痛みと腰痛でゴルフも不可能になりました。病院では、腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症と腰部椎間板(ついかんばん)ヘルニアを合併していると言われました。以前、新聞に神経ブロック療法の記事が出ていましたが、私にも適応するのでしょうか。この治療法について教えてください。

 (男性) 

<答えるドクター>
高良宏明(琉球大学保健管理センター) ・・・・・・・・・・・・・・・・

麻酔剤注射で痛み軽減/ペインクリニックで相談を
答え
 相談者の場合、加齢とともに患者の頻度が多くなってくる変性性狭窄というタイプの腰部脊柱管狭窄症が考えられます。これに腰部椎間板ヘルニアが合併しているということですが、いずれにしても、腰の骨の中に入っている神経が椎間板や靭帯(じんたい)、骨の変形(レントゲン写真ではトゲ状に映る)などにより圧迫されて発症します。
 症状として、@腰痛A下肢痛は狭窄症とヘルニアの両者で共通して見られますが、B間欠性跛行(はこう=数百薗度歩行すると脚が痛くなったりしびれるが、休息すると楽になるという症状を繰り返すタイプの歩行障害)は狭窄症に特徴的に多く認められます。
 診断は、整形外科専門医であれば簡単な診察だけでも可能ですが、確認をするためにレントゲン写真、最近ではMRI(磁気共鳴画像)という外来でもできるコンピューターを利用した検査法がよく行われます。このMRIは、神経の圧迫部位やその程度などが簡単かつ明りょうに描出され、腰痛や神経痛の診断には最適の検査法です。
 治療は、症状が軽症ないし中等度症の場合には、薬物療法(投薬や普通の注射など)、理学療法(リハビリ)、コルセット装着などの保存的治療がまず適応になります。下肢のしびれが常時あったり、脚の力が弱くなってきたような場合の中等度症ないし重症の方では神経がまひしてきたことが考えられますので、手術的治療を考慮すべきでしょう。
 さてご質問のブロック療法は、前述の保存的治療の一つではありますが、手術的治療との中間的な治療と位置づけることができます。いくつかの種類があり、目的により使い分けられますが、いずれも局所麻酔剤を注射して痛みの軽減を図る治療法です。腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアでは、神経の圧迫が軽度であれば、これだけでも軽快することがあります。
 他方、圧迫が強い場合のブロック療法では、手術的治療を考慮した方がよいかどうかの参考データも得られます。また患者さんの中にはどうしても手術を希望しない方、あるいは病状から考えて手術が難しい方などもいますので、そのような場合にもブロック療法が選択肢の一つになります。しかし神経の周囲に注射をするこの治療法は、合併症の危険性もありますので、必要性について十分吟味すべきだと強調しておきます。
 結論として、相談者の場合、病状から判断してブロック療法の適応があると考えられますので、整形外科かペインクリニックのある診療所、病院でご相談されることを勧めます。一週間に一回の頻度で、四―五回程度の治療でその効果を判定するのが基本です。それで軽減しなければ、手術的治療についても考慮したほうがよいでしょう。


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