■琉球新報99年4月2日付夕刊に掲載 

脳腫瘍のガンマナイフ治療

問い  八年前から心臓の治療で通院しています。体力のあるうちに弁膜症の手術をした方がいいと言われています。昨年六月にはペースメーカーの埋め込み手術を受けました。二年前には脳腫瘍(しゅよう)の手術を受け、二年後の昨年十二月には再発のため再手術を受けましたが、完全に取り去ることができず、福岡の病院で放射線(ガンマナイフ)の治療を受けるように勧められています。ガンマナイフのメリット、デメリット、費用の件などについて詳しく教えてください。

 (女性) 

<答えるドクター>
金茂成(嶺井第一病院脳外科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

患者への負担少なく有効/県内に装置ないのが難点
答え
 ガンマナイフとは、コバルト60を線源とする放射線治療で、二百一個の線源を取り付けた装置に頭部を固定して、病巣に正確にかつ高線量の放射線を照射する治療のことです。多量の放射線を一回で照射するので作用が非常に強く、あたかも手術を行ったように治療できるので放射線外科と呼ばれ、同様の装置にX(エックス)ナイフやサイバーナイフなどがあります。
 この治療の特徴は、従来の放射線治療と比較して正常の脳への影響が少ないことです。脳腫瘍に対して従来は脳全体に照射していたのですが、治療後に痴ほう症状など正常の脳に障害が起こることが問題になっていました。また、体外から治療するので開頭術(頭を開ける手術)の必要がなく、治療が短期間(通常は三日間前後)で済むことです。体力低下や高齢のため手術を受けることができない人にも可能です。
 病巣を正確に測定するために、治療前にMRI、CT、血管撮影の検査を組み合わせて行います。ご質問の方はペースメーカーが入っていますのでMRI検査は受けられませんが、CT検査で治療可能と思われます。
 適応となる主な疾患は、脳腫瘍、聴神経腫瘍、転移性脳腫瘍、脳動静脈奇形で、病巣の直径が三a以下が条件となります。大きさの制限や適応疾患が限られるので、手術に完全に取って代われるものではありません。条件がそろえばガンマナイフのみで、大きすぎる時には手術や他の治療で三a以下に小さくした後に治療を行います。腫瘍に対しては、再発を繰り返すために何度も手術をしなければならない時、障害が起こる可能性が高くすべて摘出できなかった時、摘出できたとしても悪性の時に手術と併用して行われることがほとんどです。
 この治療のデメリットは、治療の結果がすぐには出ないことです。病巣が小さくなってくるまでに数カ月から数年を要しますので、その間は効果があったのか分かりません。効果が非常に出やすいのは転移性脳腫瘍です。腫瘍によって生じたまひが治療の数日後から改善することもしばしばです。県内にこの装置がないのもデメリットのひとつです。治療を受けるには県外の病院に行かなければなりません。
 治療には保険が適応されます。費用は一回の入院治療で、保険の種類でも異なりますがおおよそ二十〜三十万円です。高額医療費の融資・貸付制度がありますので治療を受ける病院で相談をしてください。


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