■琉球新報99年3月12日付夕刊に掲載 

乳腺症で化膿繰り返す

問い  一昨年初めごろから右乳房に痛みを感じるようになり、診断の結果、化膿(のう)しているということで、同年三月に注射針で膿を摘出しました。その後も痛みがあり、三回膿を抜き取りました。それでも治らず、昨年一月には乳腺(せん)を切除する手術を受け、病理検査の結果、乳腺症との診断。術後も痛みや化膿があり、九月には四回目の切開をしました。この病気は完治が難しいのでしょうか。再発が心配で、毎日が気の重い生活です。

 (女性) 

<答えるドクター>
久高弘志(那覇市立病院外科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

陥没乳頭に多い乳輪下膿瘍/再発するなら根治手術必要
答え
 乳房に化膿を引き起こす病気には、妊娠や授乳中に起こる急性化膿性乳腺炎と、乳頭が陥没している人に起こりやすい乳輪下膿瘍(のうよう)があり、後者はしばしば再発を繰り返します。あなたの場合は、化膿を繰り返し起こしていることから考えると、乳輪下膿瘍と診断されます。
 乳輪下膿瘍は、若い女性に多く発症し、乳輪下またはその近くの皮下に痛みのある硬結や、皮膚の発赤をともなう膿瘍の形成、さらに膿瘍が自潰(かい)してろう孔をつくる乳腺の炎症性疾患です。この疾患は、主乳管上皮が扁平(へんぺい)上皮化生を起こし、ケラチンが詰まり、乳管が拡張し、そこに細菌感染を起こすことが原因と考えられています。
 治療としては、初めての場合は、化膿した部分を切開して膿を出し、抗生剤を服用すると良くなります。しかし、しばしば再発を繰り返す人、病気で悩んでいる期間の長い人では、根治手術が必要となります。根治手術は、原則として急性期には行わず、初回と同じく切開排膿し、抗生剤服用により急性炎症が治まってから行います。特に将来の授乳を希望する若い人は、入院をして全身麻酔下に行うのが望ましいと思います。
 手術は、細菌感染を起こしている乳管をろう孔または乳頭から細いチューブを入れて色素を注入し、病変部乳管が分かりやすいように染めます。次に手術創(傷あと)を目立ちにくくするために乳輪に沿って皮膚を切開し、色素で染まった病変部乳管を取り残さないように、また正常乳管をできるだけ傷つけないようにし、ろう孔部分の皮膚も含めて切除します。
 乳輪下膿瘍には、陥没乳頭を併発していることが多いため、同時に乳頭形成も行って、できるだけ正常な位置へ戻すようにします。
 陥没乳頭の人が、乳頭下膿瘍になるのを予防するために、指で陥没している乳頭を押し出し、綿棒でよくふいて、汚れを取り除いて清潔を保つようにするとよいと思います。


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