■琉球新報99年3月5日付夕刊に掲載 

娘の下着におりもの

問い  二歳四カ月の娘。半年ほど前、パンツにうみか、おりもののようなものが付着しているので小児科で受診しました。大腸菌に感染しているようだとして抗生剤と塗り薬を処方され、大便の後は洗うようにとの指示も受けました。一週間ほどで治りましたが、その後も一、二カ月ほどで症状が出てきます。夜中にたまに痛がりますが、日中は痛がったり、かゆがったりはしません。部位が部位だけに心配です。産婦人科を受診させた方がいいのでしょうか。 

 (女性) 

<答えるドクター>
盛山正則(もりやま小児科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

女児に多い外陰膣炎/患部の清潔を心がけて
答え
 ご質問の症状から、幼少女児に比較的よく見られる外陰膣(ちつ)炎を繰り返しているものと思われます。
 本来、女性の膣は、成熟するにつれてエストロゲンの作用により、グリコーゲンに富む粘膜上皮が増殖し、それを栄養源にして膣内の常在菌(膣桿=ちつかん=菌)が繁殖し乳酸を産生する結果、膣内は強い酸性に保たれ、細菌の侵入を防いでいます。これを膣の自浄作用といいます。
 ところが幼少児はこの自浄作用が未発達なため、侵入菌に対する抵抗性が弱く、その上、排せつ後の処理が稚拙で、便や尿で汚れたり、また、床や地べたに座りこんだりして外陰部が汚れやすく、細菌の侵入する機会も多いため、外陰・膣に炎症を起こすことがよくあります。
 症状は、下着の汚れで気付かれることが多く、パンツやおむつに膿(のう)性分泌物が付着します。自覚症状はかゆみや痛み、時に排尿時痛を訴えますが、無自覚でほとんど気付かない場合もあります。診察すると、外陰部の発赤や腫脹(しゅちょう=はれ)を認め、膿が付いていることもあります。
 小児の膣炎は、成人の場合と異なり、トリコモナスや淋(りん)菌などの特殊な微生物で起こることはまれで、ほとんどが一般細菌、主に大腸菌、ブドウ球菌、溶連菌などが原因となります。
 誘因はやはり、外陰部の汚れに起因することがほとんどで、時に蟯虫(ぎょうちゅう)が陰部に迷入して炎症を誘発したり、尿路感染などに合併することもあります。まれに膣内異物や膣・子宮奇形などに伴うこともあるようです。
 予防と治療は、外陰部を清潔に保つことが最も大切です。例えば、▽排便後は前方から後方へ丁寧にふき取り、できれば洗ってあげる▽局所への刺激を避けるため、下着は緩めの木綿にし、まめに取り換える▽入浴の際は陰部をやさしく洗い、丁寧に汚れを落とす―など、普段から清潔を心がけることです。そして炎症がある時には、入浴の回数を増やしたり、一日数回の座浴なども良いでしょう。症状の強い時や、ぐずつく時は抗生剤を外用したり内服することにより数日から一週間程度で良くなります。
 ご質問のお子さんは夜中にだけ痛がることがあるようですので、蟯虫感染の有無はチェックしておいた方が良さそうです。
 ところで、異常に繰り返したり、頑固で治りにくい場合は、膣異物などが原因のこともあるようです。「半年ほど前から一―二カ月の間隔で…」というのは必ずしも異常な頻度とも思えませんが、細やかなケアを心がけているにもかかわらず繰り返しているようであれば、念のため一度、婦人科の診察をお受けになってみてはいかがでしょうか。そしていま一度、ケアが十分かどうか見直してみてください。


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