■琉球新報99年2月5日付夕刊に掲載 

脳卒中の後遺症で左肩が痛い

問い  三年前、昼寝から起きたら両ひざが利かず、受診したところ、脳内出血と言われ入院しました。出血が軽く、手術はしませんでしたが、その後の後遺症に悩んでいます。左肩が重く、痛みもあり、腕もうずくように痛みます。退院直後は左腕に少し重みを感じるくらいでしたが、今はあまりの痛さに寝転がっていることが多いです。薬を変えたり、電気治療をしたりしましたが良くなりません。後遺症は悪くなるばかりで、一生治らないものでしょうか。

 (男性) 

<答えるドクター>
仲地聡(県立中部病院整形外科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

骨関節異常の有無で判断を/原因により異なる治療法
答え
 肩の痛みの原因はいろいろありますが、脳卒中後の肩の痛みということで回答します。
【骨関節に異常がある場合】
 次のようなことが考えられます。@肩の動きに制限があるが、レントゲン上は異常を認めない。 肩の動きに制限を認め、レントゲン上異常な骨を認める。 肩関節に異常な動揺性があり、レントゲン上も亜脱臼(きゅう)を認める。
 @は肩の拘縮をきたしているものと考えます。まひのため長く肩を動かさなかったために、肩を構成する筋、腱(けん)および関節包が委縮し、本来の肩の動きができずに、それ以上に肩を動かそうとした場合に痛みを生じるものと考えます。対処法としては、痛み止めとリハビリによる可動域訓練が必要だと思います。
  はいわゆる異所性骨化といわれるもので、その原因は不明で脊髄(せきずい)損傷や脳障害の患者で認められることがあります。治療としては、肩の動きを維持したり再獲得したりするための理学療法、作業療法です。超音波、極超短波や温熱療法も効果があると考えます。手術で切除するのは、肩の動きの邪魔となっている場合のみに限られます。
  はまひに伴う肩の亜脱臼です。肩は全身の関節の中でも最もよく動く関節です。その半面抜けやすい関節でもあります。これを抜けないようにしているのが肩を構成する筋や腱板なのですが、これがまひして緩んでしまうと、重力により腕が下がり、肩の亜脱臼の状態になります。亜脱臼をしているからすなわち痛みを生じるというわけではないのですが、関節面がうまく合っていない状態のまま、無理に動かせば痛みを生じるのではないかと考えます。
 これら骨関節の異常の有無については、整形外科医の診療を受けてみてはどうでしょうか。
【骨関節に異常がない場合】
 痛みだけが全面に出て、身体所見や画像上では特に異常を認めない場合、その原因を特定するのは難しいと思います。そこで、代表的なものとして反射性交感神経性ジストロフィーをあげてみます。これは小さなけがの後に起こる四肢の痛み、むくみ、骨の委縮を伴う症候群をいいますが、脳血管障害の後では特に外傷がなくても起こることがあるようです。
 その発生機序などは不明な部分も多いのですが、治療としては痛みを遮断することが必要ですので、いわゆるペインクリニック(痛みの外来)で相談してみるのがよいのではないでしょうか。
 以上、ご質問の内容から考えられることをもとに回答してみました。


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