■琉球新報99年1月22日付夕刊に掲載 

動脈管開存症の手術で迷う

問い  一年半前、心臓カテーテルで動脈管開存症と診断されました。医師によると、血流が三〇%なら手術すべきで、一〇%以下ならやらないでもいいとのことです。私の場合、二二%の血流でさらに心肥大もあるため、「常識的にやった方がいいだろう」と手術を勧められましたが、迷っています。職場を二、三カ月あけるのもためらいますし、母子家庭のため費用も気にかかります。手術方法(開胸するのか)や手術での傷、術後の状況、費用、入院・自宅療養期間などについて教えてください。

 (48歳・女性) 

<答えるドクター>
古謝景春(琉球大学医学部第二外科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

症状問わず手術を勧める/正常な血液循環に戻せる
答え
 動脈管開存症は先天性心疾患の一つで、心室中隔欠損症に次いで多く、時に他の心奇形を合併することがあります。動脈管開存症単独の場合の症状は、左―右短絡率の大小により、新生児期から呼吸不全心不全を呈する重症例から、成人にいたるまで無症状で経過するものまで多様です。
 一般に本症は左―右短絡率の大小にかかわらず、手術治療が勧められています。その理由として、本症を有する症例では平均寿命まで無症状で経過することはなく、また手術治療により完全に正常な血液循環に戻すことが可能だからです。
 手術は動脈管を切り離す単純な方法ですが、動脈管が柔らかい幼小児期に、その大多数が極めて安全に行われているのが現状です。成人例、特に四十歳を過ぎた方の手術で注意を要する点は、しばしば動脈管に動脈硬化病変を伴う石灰化が見られることです。このような場合の手術は、通常の心臓手術用の人工心肺装置などを使う必要があり、幼小児期の手術に比べて、手術は少し複雑となり時間を要します。
 手術は左側胸部を切開しますが、子供の場合は十a程度、成人の場合は二十a前後の皮膚切開を要します。術後は一―二日ほど胸部に廃液用のドレーン(管)が入りますので、歩行はできませんが、翌日から食事は可能です。小児では二―三日、成人では一―二週間程度、傷部の痛みを訴えますが、強い痛み止めを使うほどではありません。
 術後の入院期間は子供で十日程度、成人で二十日前後です。術後の就労は、デスクワークであれば一カ月でも可能ですが、肉体労働を伴う場合は二―三カ月程度の期間を必要とします。
 動脈管開存症に対する手術以外の治療法として、早くからカテーテルを用いる方法が一部で行われていますが、その安全性と術後の再発率の点から、いまだに一般的治療法として普及していません。
 入院時の費用は、現在の心電図、レントゲンの所見および症状、身体所見から身体障害者福祉法による心臓機能障害の三級該当以上は、その手続きをすることにより、費用はあまりかかりません。該当しない場合でも、高額医療負担の制度がありますので、事前に治療を受ける病院の医事相談所で詳しく相談してください。


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