■琉球新報99年1月8日付夕刊に掲載 

右手の薬指が開きにくい

問い  二週間ほど前から、朝起きると、右手の薬指がほかの四本の指と一緒には開かなくなっています。第二関節が曲がっているのです。夜中と朝に目を覚ましたわずかな時間だけなのですが、握ったり開いたりを繰り返しても、薬指だけが遅いのです。痛みはなく、昼間は何ともありません。関節に異常でもあるのでしょうか。治療法を教えてください。

 (女性) 

<答えるドクター>
外間浩(那覇市立病院整形外科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

腱鞘炎によるバネ指か/症状軽いうちに治療を
答え
 手指の手のひら側には、五本の指をそれぞれに屈曲させる屈筋腱(けん)というスジがあります。それぞれの屈筋腱には、指を屈曲する際、腱を支持してその移動を円滑にして屈曲がスムーズにできるようにする腱鞘(けんしょう)と呼ばれる滑車のような働きをする支持機構があります。
 今回のご質問のように指の伸びが悪くなる現象は、指を伸ばすときにバネで伸ばされるように見えることから「バネ指」といわれています。
 この原因としては、@腱鞘が炎症により肥厚し腱の通り道が狭くなるために起こる場合A腱の周囲にある滑膜という組織が炎症により増殖を起こし、そのため腱が円滑に移動できなくなってしまう場合―の二つが挙げられます。
 前者の場合は慢性的な指の過度の使用による機械的刺激が誘因となることが多いのですが、誘因のはっきりしないことも多いようです。後者は慢性関節リウマチによる滑膜炎が原因です。慢性関節リウマチの場合、一本の指だけが曲げ伸ばしがしにくいということは少なく、指の関節のはれも伴っていることがほとんどですので、ご質問の症状から推測すると、腱鞘炎による「バネ指」が一番考えやすいと思います。
 腱鞘炎による「バネ指」は初期の場合、朝起きたときだけ指が伸びないということが多いようです。しかし進行してくると、日中でも指のひっかかりが出現し、指の曲げ伸ばしで痛みを伴うようになります。ひどい場合は全く曲げられなくなったり、全く伸ばせなくなったりし、手のひら側に炎症を起こし、はれた有痛性の腱鞘が触れるようになります。
 ある統計によると、バネ指は中年の女性に多く発症し、母指(親指)が約六○%と最も多く、中指が二○〜二五%、薬指が一五%で、示指(人さし指)、小指はまれとなっています。
 治療法は、発症間もない例では消炎鎮痛剤の内服や軟こう処置にステロイド剤の局所注射などを併用しますが、軽快しない場合は手術による治療を行う場合もあります。
 手術方法は、局所麻酔下に肥厚した腱鞘を切開して狭くなった部分を開放します。そうすると指の曲げ伸ばしの際にあったひっかかりはすぐに消失します。この手術は簡単な手術で、十分ほどで済み、入院も要りません。
 しかし、指の曲げ伸ばしができなくなった状態で放置しますと、曲げ伸ばしができなくなった第二関節が固くなり、その関節部分にも痛みが出るようになる場合もあります。ここまで進行してくると、手術をしても治るのに時間がかかりますので、早めに治療を受けることをお勧めします。


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