■平成9年11月7日琉球新報夕刊掲載より 

歩き出す時、かかとが痛い

問い  一年前から両かかとに痛みがあります。特に休息後、立ち上がる時の第一歩がズキンと骨に響く感じです。しばらく歩くと痛みはいくらか和らぎます。整形外科でレントゲンも撮りましたが、骨に異常はありませんでした。湿布薬を処方されましたが、最近は痛みがかかとからひざ下まで及んでいます。クレーンオペレーターという仕事柄、安全靴を軽い運動靴に変えてみましたが、だるさは残っています。一種の職業病なのでしょうか。何科を受診したらいいのでしょうか。

 (41歳・男性) 

<答えるドクター>
 知念弘(大浜第一病院整形外科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

足底筋膜炎かアキレス腱滑液包炎/安全靴が原因の可能性も
答え
 かかと部に痛みを生じる疾患として、@足底筋膜炎(そくていきんまくえん)Aアキレス腱滑液包炎(けんかつえきほうえん)B踵骨骨端炎(しょうこつこったんえん)C踵骨骨髄炎(しょうこつこつずいえん)D単発性骨嚢腫(こつのうしゅ)―などが挙げられます。以下、それぞれの疾患の特徴を述べてみます。
 @【足底筋膜炎】
 足の裏のかかと部の痛みが主症状で、歩き始めや走り始め、あるいは起床時の一歩目に強く痛むのが特徴です。初期では歩行や運動を続けることによって症状は軽減します。足の裏のかかと部に圧痛があることから診断は比較的容易です。レントゲンでは踵骨の骨棘(骨のとげ)が認められることもありますが、異常所見を認めないこともあります。
 A【アキレス腱滑液包炎】
 好発年齢は十―三十歳代で両側性に多く、歩行時または運動時のアキレス腱踵骨付着部の痛みを訴えます。また同部に母指頭大の腫瘤(しゅりゅう)を認め、急性期には発赤、腫脹(しゅちょう=はれ)を伴います。レントゲンは特徴的な所見は認めません。
 B【踵骨骨端炎】
 十歳前後の学童期に認められ、運動時にかかと部の疼痛を自覚します。疼痛が増強すれば、びっこを呈することもあります。
 C【踵骨骨髄炎】
 主に学童期に見られ、誘因なくかかと部痛をきたし、数日の経過で発熱を伴いながら疼痛(とうつう)が増強してきます。著しい自発痛、高熱、悪寒を見ることが多く、血液検査上も異常を認めます。
 D【単発性骨嚢腫】
 発生年齢は十歳代がほとんどです。病的な骨折を起こすと疼痛が出現しますが、レントゲンで偶然に発見されることが多いようです。
 今回の相談者の年齢、相談内容から考えますと、@の足底筋膜炎か、Aのアキレス腱滑液包炎の可能性が高いと考えます。
 両疾患を鑑別(区別)するためには、疼痛・圧痛の場所が大事になってきます。つまり、足の裏のかかと部に疼痛・圧痛があるようなら足底筋膜炎が、かかとのアキレス腱付着部に疼痛・腫脹があるようならアキレス腱滑液包炎が考えやすくなってきます。
 相談者はクレーンオペレーターという仕事柄、足底部の硬い安全靴の使用頻度が高いようですが、靴が現在の症状の原因となっている可能性は十分あると思われます。
 この場合、もう一度整形外科を受診することをお勧めします。


<健康相談室>メニューヘ