■平成9年3月7日琉球新報夕刊掲載より 

肝内石灰化と診断された

問い  先日、人間ドックを受けたら、「肝内石灰化」と言われました。エコー(超音波)検査でも映っていて、再検査をしたところ、「今まで通りの生活でいい」と言われました。
一日五時間のパートをしていますが、疲れると背中も痛くなります。そのせいでしょうか、肝機能障害ともいわれています。再検査はしていませんが、今後、気を付けることはありますか。

(61歳・女性) 


<答えるドクター>
仲宗根和則(琉生病院内科)・・・・・・・・・・・・・・・・

観察必要な肝内結石とは違う/早急な治療は要しない
答え
 まず、人間ドックなどでしばしば経験する無症状の「肝実質内石灰化」(過去の炎症、感染の痕跡)と、胆汁の流出路障害を伴う「肝内胆管内結石」を区別することが肝要です。実際問題として、末梢側胆管が拡張していない場合は、腹部超音波検査だけでは両者の区別は困難です。
 文面からは、相談者の肝機能障害の詳しい内容が分かりませんが、胆汁流出路障害の指標となるAL―P、LAP、γGTPなどの胆道系酵素の上昇があれば、腹部超音波検査、腹部CT検査、さらには胆道の造影検査などでの厳重な経過観察が必要です。肝切除術を含めた外科的治療が必要となる症例もあるからです。
 肝内結石は胆のうや胆管の結石を合併する頻度も高く、極めてまれではありますが、肝内胆管がんの合併も常に念頭に置く必要があります。
 琉生病院の人間ドックの例では、昨年一年間で疑診例も含めて肝内結石が七十六例発見されています。これは全受診者の一・四%(男一・一%、女〇・三%)に当たります。当院の人間ドック受診者に男性が多いこと(二・六対一)を考え合わせても、男性にやや多い頻度です。
 厚生省の特定疾患肝内結石症調査研究班が行った全国アンケートでは、肝内結石の背景因子として、@生育地が郡部であるA井戸水を使用B寄生虫疾患の既往が多いCくみ取り式トイレ―などの環境因子が、また食生活の面ではDバター、マーガリンの摂取が少なく、煮魚が多い―などの危険因子が報告されています。
 人間ドックなどで発見される肝内結石のほとんどは無症状で、当院でも肝機能異常を合併するのは肝内結石症のうちの一七%に上りますが、ほとんどが脂肪肝やアルコール性肝障害などの生活習慣病で、肝内結石症とは無関係の肝機能障害です。
 以上のことから、相談者の場合、文面からは早急な治療を要さない肝実質内石灰化が推測されます。腰や背中の痛みは、肥満や長時間労働による腰背筋の疲労と考えられます。肝機能異常については、主治医に詳しく説明をしてもらうとよいでしょう。


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