■琉球新報2001年11月17日付夕刊に掲載 

高いびきと不眠症

問い  高いびきと不眠症で悩まされ、耳鼻咽喉(いんこう)科で「へんとう肥大」とへんとう切除を勧められたが、ほかに治療法はないのでしょうか。小学生の子どもも同じように診断されているので、子どもが切除する場合のリスクや時期などについてもうかがいたい。またへんとうとアデノイドとの関係も教えてください。

 (41歳・男性) 

<答えるドクター>
真栄田裕行(沖縄県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

へんとう肥大/器具装着による解消も
答え
 いびきや不眠の原因となる疾患は数多くありますが、一般には睡眠時無呼吸症候群という疾患概念の範ちゅうに属します。これはいびきや睡眠中の一時的な呼吸停止と睡眠不足、またその反動で日中、常に眠気に襲われる状態です。最近はこの疾患が突然死の原因になりうることが注目されています。
 原因は脳神経に原因のある中枢性無呼吸と、鼻やのどの構造に原因のある末しょう性無呼吸に大別されます。圧倒的に多いのは後者であり、治療の対象となります。外科的治療としては鼻の空気の通りをよくする鼻腔(びこう)手術と、のどの狭いところを切除して広げる咽頭手術があります。咽頭手術の代表としてへんとう摘出があるわけです。ご質問にあるへんとう肥大はこの末しょう性無呼吸の主因とされ、外科的治療の良い適応となります。
 へんとう摘出術はこの無呼吸の解消のほかに、かぜをひきやすい、のどをはらしやすいなどの習慣性へんとう炎や慢性へんとう炎、また病巣感染性へんとう(へんとうが原因で腎=じん=炎や関節炎をおこしたり、手のひらや足の裏に難治性の膿庖=のうほう=ができる)にも同じく適応があります。ここでへんとうの機能について説明します。
 へんとうは一種の免疫臓器(身体の抵抗力をつけたり、外部からの感染を防御する臓器)とされていますが、その機能は出生後に退化していると考えられ、成人での切除はいうまでもなく、小児においても特に影響を及ぼすものではないとされています。アデノイドもへんとうと同じ組織でその位置が鼻の奥(上咽頭)にあるので、咽頭へんとうと呼ばれています。これも大きい場合、無呼吸の原因になるので、へんとう摘出の際、同時に切除することがあります。
 手術は三十分から一時間以内に終了する程度で、耳鼻咽喉科医のいる比較的大きな病院ではどの施設でも受けることができます。合併症の中で最もリスクのあるものは出血であり、百人に一人くらいの頻度で発生します。まれに止血しにくい例もありますが、適切な処置でほとんどが問題ありません。小児においては成人よりも組織が柔らかく、むしろ安全に手術をすることができます。
 手術年齢の目安は一応二歳以上であれば問題ないでしょう。しかし症状がひどい場合は、二歳未満でも手術をすることもあります。
 どうしても外科的切除に踏み切れない場合、無呼吸の治療として、睡眠時に鼻や口に特殊な器具を装着したりして無呼吸状態を解消する方法があります。外科的治療法といずれがよいのかは一概には言えず、さまざまな睡眠検査が必要です。いびきや無呼吸でお困りの方はどうぞ一度お近くの耳鼻咽喉科や、睡眠を扱っている内科などに受診することをおすすめします。


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