■琉球新報2001年8月25日付夕刊に掲載 

卵巣摘出後の妊娠は可能?

問い  十五歳の時に妊娠・中絶を経験しました。五カ月に入っており、陣痛促進剤で出産する形の手術をし、一週間入院しました。結婚後、二十一歳の時にけい留流産し、今年は卵管妊娠で右側の卵管と卵巣の摘出手術をしました。産婦人科では、今後も妊娠も可能といわれましたが、次も子宮外妊娠になったらと心配です。中絶のことが原因でしょうか。検査を受けた方がいいのでしょうか。

 (26歳・女性)  

<答えるドクター>
新崎盛雄(沖縄県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

出産は可能/産婦人科医によく相談を
答え
 相談者は妊娠中絶後にけい留流産、卵管妊娠になり、将来妊娠、出産できるのか心配のようですが、あなたの心配することはよく理解できます。結論から先に言いますとあなたは元気な赤ちゃんを産むことができるでしょう。
 正常の妊娠の仕組みを説明します。卵巣から出された卵は(排卵という)卵管采(さい)より卵管にとり入れられ、卵管膨大部で膣内に射精された精子と出合い受精します。受精した卵は自分で動くことができず卵管の中の繊毛と呼ばれる細かい毛によって子宮へと運ばれていきます。子宮に運ばれた受精卵は次第に発育し、約二百八十日で出産になります。
 まずけい留流産とは子宮に運ばれた受精卵が子宮の中で発育せず死亡して子宮内にとどまっている状態です。その頻度は全妊娠の10―15%です。原因の多くは染色体異常などによる赤ちゃんの原因がほとんどです。それが連続して起こることはまれです。
 次に妊娠中絶と子宮外妊娠の関係について説明します。妊娠中絶は子宮の入り口を開いて、子宮内容物を掻爬(そうは)する方法とあなたのように子宮収縮剤を使って出産と同じようにする方法があります。どちらの方法でもその時子宮、卵管に炎症が起こり、卵管の繊毛が障害されることがあります。また中絶とは関係なく卵管にばい菌が入り、帯下が増える、おなかが痛い、熱があるなどの症状が出ますと、卵管の繊毛を障害し、受精卵を運ぶことができなくなることがあります。いずれの場合でも卵管の繊毛が障害されると受精卵が子宮まで運ばれず卵管で大きくなります。卵管壁は子宮壁のように厚くないので、やがて卵管が破裂してしまいます。これが子宮外妊娠(卵管妊娠)です。あなたの場合右側に卵管妊娠を起こし、出血を止めるために卵管、卵巣を切除したものと思われます。その原因は中絶によるものか卵管にばい菌が入って卵管の障害を起こしたのかはっきりしません。どちらも炎症は通常両側に起こることが多いので右側に卵管妊娠をすると左側の卵管の繊毛も障害されていることが多いのです。だから次回妊娠時に卵管妊娠を起こす可能性はありますが、その頻度は10%程度です。子宮外妊娠(卵管妊娠)後正常に子宮内に妊娠し元気な赤ちゃんを産んだ人はたくさんいます。
 たとえ次に再び卵管妊娠し、左卵管を切除しても子宮内膜に異常がなければ体外受精という方法を使えば妊娠して赤ちゃんを産むことができます。
 これからの検査として卵管の状態を調べる子宮卵管造影法やクラミジア検査などがあります。産婦人科を受診しよく相談されることをお勧めします。


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