■琉球新報2001年7月7日付夕刊に掲載 

気分不良と嘔吐続く

問い  十年前から、年に五、六回具合が悪くなり、低体温(三五―三六度)、嘔吐(おうと)も激しく、頭を 上げて歩くのも困難な症状がある。耳の検査をしたが、メニエル病ではないと診断された。いつも点 滴(嘔吐止め、ビタミン剤など)を処置してもらうが、完治する気配はない。医師に聞くと、風邪をひ いているからといわれるが、納得いかない。どの科を受診すればいいのか教えてほしい。

 (36歳・女性) 

<答えるドクター>
伊佐勝憲(沖縄県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

要因多様で検討要す/経過整理し内科受診を
答え
 まず、ご相談された内容をまとめてみますと「十年前、二十六歳から、年五―六回、気分が悪くな り、激しく嘔吐する。その際、体温低下傾向、血圧低下傾向を伴う。点滴などの対処的治療では改 善しない。メニエル病などの耳鼻科的異常は既に検査で否定されているが、明確な原因や治療方 針が決まっていない」ということになります。
 残念ながら、お手紙の内容からだけでは原因となる病気、治療の方針と症状の改善の見込みに ついて明確に判断するのは難しいように思われます。さらに別の情報が必要になります。
 必要な情報としては、(1)通常の健康状態や生活状況、日ごろ飲まれている薬、アレルギーの有 無、既往歴(これまでかかった病気とその経過)などのご本人の背景となる情報(2)発症のきっか けとなる出来事(誘因)の有無、発症時の環境、下痢や頭痛などの合併症の有無、症状の持続時 間、改善するまでの経過(3)耳鼻科的検査のほかに、これまでに受けた検査内容とその結果など です。
 中心的な症状である「気分不良と嘔吐」を繰り返す病気は多く、原因の大きな枠組みだけでも、消 化器(胃腸や肝臓)、脳神経、耳、内分泌(ホルモン)、循環器(心臓や血圧)、精神的要因などさま ざまです。まずはどの枠組みに当てはまるのか判断しなくてはなりません。原因が多様なこともあ り、すぐに原因が判明しないことも決して珍しくありません。慎重に検討しなければならないこともし ばしばです。
 これまでの経過が十年と長く、症状が多彩な印象を受けます。問題を解決する上で、まず重要な のはこれまでの経過を整理して、詳細に把握することにあると思います。経過が長くなりますと、診 察の際に伝えなければならない情報が多くなります。そのため、要領よく情報を伝えることが難しく なり、医療者側に伝えられる情報が断片的になりがちです。
 先に挙げさせていただきました必要な情報を中心に、これまでの経過を簡潔に、できればメモに まとめていただいて受診されますと、大切なポイントを伝えることができ、スムーズに診療が進むと 思います。ご協力いただければ幸いです。
 「何科を受診すべきか」というご質問につきましては、まずは「内科」を受診されることをお勧めしま す。情報の分析、基本的な診察、検査を踏まえて、さらにどの専門に相談すべきか、判断をしてい ただくとよいでしょう。大切なことは、判断根拠を必ず説明してもらい、わからないことはできるだけ その場で質問され、納得されることだと思います。


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