■琉球新報2001年6月16日付夕刊に掲載 

めまい、動悸や下腹部の痛み

問い  二年前から体調をくずし、めまい、不整脈、激しい動悸(き)、血圧も不安定などの症状が出始め た。胃カメラ、ファイバー検査の結果、異常なしだった。最近になって刺激物(すっぱいもの、からい もの)を口にすると下腹部がひりひりと痛み、食欲もなく、便秘がちになり体重も減ってきた。腹部の 痛みは現在も続き、寝ている間、みぞおちからへその間にふくらみが見え隠れし、不快感がある。 痛みの原因と治療法について教えてほしい。

 (65歳・女性) 

<答えるドクター>
玉井 修(沖縄県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

心の病気の疑いも/ストレスが身体の症状に
答え
 めまい、不整脈、動悸、血圧の変動などの症状は検査の結果、異常なしとのことです。胃カメラも 大腸ファイバーも受けたけれど、下腹部の痛みの原因がわからないようです。このような顕著な自 覚症状があるにもかかわらず、検査しても正常と言われてしまうという場合、もしかしたらこれは体 の病気でなく、心の病気なのかもしれません。
 少なくとも精神的な側面を考えに入れてみる必要がありそうです。健康に対する漠然とした不安 やその他、人間関係などにさまざまなストレスにさいなまれるとき、時に人は何にも異常がないのに もかかわらず、身体の症状が出現してきます。このような精神的な側面を持った身体症状の発現 は神経症と呼ばれ、最近のストレス社会ではかなり多くの患者さんがこれに悩まされています。
 神経症は外来でもよくみかけることなのですが、医者がこのようなことを言い出すと患者さんの中 にはかなり、憤慨したり、そのような考えを拒絶される方を多くみます。「先生は気の病だとおっしゃ るの?」「わたしは体が痛くてここに来たのに何を言い出すんですか?」患者さんの気持ちはよくわ かります。ただでさえ、体の具合が悪くて不愉快なのに病院で精神的疾患だとかいわれるとさらに 不愉快になるのでしょう。
 人間の精神と痛みとはとても深く関連しています。ある農家で、カマを持って草刈りをしていた人 が、自分の足に真っ赤なものを見て血だと思ってすぐに手ぬぐいでぐるぐる巻きにして、あまりの痛 さに半狂乱状態で病院に担ぎ込まれて、手ぬぐいを取ったら真っ赤に紅葉した葉っぱだったという 話もあります。
 アメリカではかなり精神的治療の認知度が高く、大統領自ら精神療法やカウンセリングを積極的 に受けるそうです。日本でももっと精神的疾患の認知度を上げてよいはずです。いたずらに拒絶し たり、不安がっていても解決にはならないはずです。適切な診断と適切な治療を早期に行うことが 早期の解決につながります。
 神経症と診断するにはまずさまざまな検査によって身体的な病気を除外すること、そして精神的 な側面を明らかにしていくことです。時間をかけて医師と患者さんの信頼関係を形成することが重 要です。


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