■琉球新報2001年6月2日付夕刊に掲載 

胸の痛みとコレステロール値

問い  五年前からコレステロール値が急に上がり始め、メバロチン十_cを現在、朝夕服用していま す。最近、胸の痛みが一カ月ごとにあり、念のため病院で心電図をとり、診てもらいましたが、異常 なしと診断されました。のどのつまる症状もあり、心配です。狭心症でないかと心配です。薬の服用 と関係があるのでしょうか。

 (59歳・女性) 

<答えるドクター>
与儀昌夫(沖縄県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

狭心症の疑い念頭に/かかりつけ医によく相談を
答え
 胸痛は心臓病や大動脈瘤(りゅう)のほかに、胸膜や肺の病気、食道の炎症やけいれんによって も起こります。また、肋間(ろっかん)神経痛や筋肉痛、神経性のものまで多岐にわたり、日常の診 療では心臓病でないことが多いといわれております。しかし、相談者が心配しておられる通り狭心 症の可能性を念頭におくことは当然のことです。
 狭心症は心臓に血液を供給する冠動脈という血管がおもに動脈硬化によって狭くなり、心臓の仕 事量が増えた時、それに応じた血流量の確保ができず酸素不足の状態になり胸痛が起こる病気で す。冠動脈のけいれんによる狭窄(きょうさく)でも起こります。狭心症は心筋壊死(かいし)にまでい たらず、数分以内におさまりますが、冠動脈が完全につまると心筋が壊死におちいり、心筋梗塞 (こうそく)に発展します。このような血流障害によっておこる一連の病気を虚血性心臓病といいま す。
 狭心症は前胸部胸骨裏側を中心に「おしつけられるような」、「しめつけられるような」痛みが発生 し、左の肩や腕に放散することがあります。数分内におさまり、十五分以上続くことは少ないといわ れております。心筋梗塞は痛みがより激烈で三十分以上持続します。
 虚血性心臓病が疑われたらまず心電図をとりますが、狭心症は非発作時には心電図に所見が 現れにくいので特別な工夫が必要です。運動負荷心電図や長時間記録のホルター心電図検査が それです。また、より専門的な検査が必要なこともあります。他の疾患の可能性があればそれを確 認するためのたとえば食道のX線や内視鏡検査などが必要なこともあります。
 次に薬についてのおたずねですが、メバロチンはコレステロールの生成を抑える薬で、この系統 のものは比較的よく使われております。メーカーが集めた副作用の資料には胸やけ〇・〇五%、咽 頭(いんとう)違和感〇・〇一%、胸痛の記載はありません。メーカーにも問い合わせてみましたが、 これらの副作用はきわめて少ないようです。しかし、副作用が疑われたり、効果が期待できないと きは薬を代えるのも一つの選択ではないでしょうか。
 高脂血症は糖尿病、高血圧、肥満、喫煙、加齢、家族歴と共に虚血性心臓病の重要な危険因子 の一つです。後二者はコントロールできないが、ほとんどの高コレステロール血症はまず食事療法 と運動療法を実行し、それでも目標値に達しなければ薬の併用でかなり是正が可能です。狭心症 の予防のためにも、進行防止のためにもコレステロールの是正は必要です。
 かかりつけの先生に積極的におたずねすればより詳しい説明と指導があるものと思います。


<健康相談室>メニューヘ