■琉球新報2001年5月26日付夕刊に掲載 

ばね指(指の腱鞘炎)の原因は?

問い  一九九九年末に右親指のばね指に対し、切開手術を受けた。順調に回復したが、昨年、右手の 人さし指と中指に同様の症状があり、再度切開手術を受け、傷口が回復しないうちに左手の人さし 指が同じ症状で痛みだした。一昨年に交通事故で両腕を骨折し、現在リハビリ中だが、事故とも原 因があるのか。ばね指になる原因を教えてほしい。またばね指の予防法はあるか。

 (56歳・女性) 

<答えるドクター>
新垣 晃(沖縄県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

最も多いのが使い過ぎ/強い腱鞘炎は切開手術も
答え
 ばね指というのは指の腱鞘炎(けんしょうえん)のことです。指には三つの関節があり、これら関節 を屈曲させるためには腱(屈筋腱)が必要なことは理解いただけると思います、しかし、指関節をス ムーズに曲げるためにはトンネル状になった屈筋腱の通り道=腱鞘(腱をさや状に包んだ構造に なっていることから腱鞘と呼ばれる)があることは意外と理解しにくいようです。
 この腱鞘は各指の根元の部分から指先の第一関節の部分までトンネル状に存在します。腱鞘の 入り口部は指の根元にあり、この部分が腱との摩擦が最も大きく、腱鞘炎の初期症状は「指の根 元の部分を押すと痛い」というものです。長く腱鞘炎が続くと腱鞘の入り口部分の約一abが肥厚 し、この部分で腱鞘が狭くなるのです。そのため、指の根元で腱がスムーズに動かなくなり、ばね様 に引っ掛かりを生じることから、ばね指と呼ばれるのです。
 最も多い原因としては指の使い過ぎによるものです。また比較的中年女性に多く発症することか ら、女性特有のホルモンも関係あるかもしれません。また、相談者のように複数の指が次々にばね 指になる原因として、手を使うということは同時に多数の指を使わざるを得ない場合が多いことがあ げられます。従って、予防法としては指に繰り返し過度の負担をかけないようにすることです。特 殊な例として重症の糖尿病を合併している方やリウマチ滑膜(かつまく)炎を併発している方は多数 の指が同時に腱鞘炎を起こすことがあります。一般的には交通事故で前腕骨骨折を受傷したこと が腱鞘炎の直接の原因になることはありません。
 治療法としては手指に負担をかけすぎないようにするとともに、腱鞘炎の症状があれば手指を十 分に温めて、血行を良くすることで自然治癒を促すことになります。また消炎鎮痛剤入りの軟こうな どでのマッサージも効果があります。消炎作用の強いステロイド剤の注射も時には効果があります が、あまり頻回に行うことはむしろ屈筋腱を傷つけることになるため数回にとどめるべきでしょう。
 しかし、長期に治らない方や指が曲がらなくなるほどの強い腱鞘炎の症状のある方は手術により 腱鞘を切開し、広げる手術=腱鞘切開手術=を受けるのが望ましいと思います。お近くの整形外 科専門の先生にご相談ください。


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