■琉球新報2001年4月7日付夕刊に掲載 

自然なお産がしたい

問い  初産で陣痛誘発剤(プロスタルモン)を内服し出産した。子供のころからぜんそくと不整脈があり、プ ロスタルモンなどの使用はできないと聞き、医者にも相談したが薬を用いての誘発分娩(ぶんべん)と なった。現在妊娠中で、五月の連休中が予定日のため休日分娩をさけるため誘発分娩になるのでは と心配。自然分娩を望んでいるが、陣痛を誘発するのに安全な点滴などはないのか。

 (36歳・主婦) 

<答えるドクター>
佐久本薫(沖縄県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

誘発は母児の利益で/必要性や使用薬剤確認を
答え
 分娩はできうる限り、子宮収縮剤を用いない自然分娩をめざし、われわれ産婦人科医は、母児ともに 安全に分娩を終了するよう最善を尽くしています。しかし、放置すると母児の生命、安全性が危険にさ らされることがあります。分娩の誘発や陣痛の促進は、母児にとって利益があると考えられる医学的適 応によってのみ行われます。病院や医師の都合で分娩誘発をするものではありません。予定日が連休 にかかるために分娩誘発されるのではないかと心配されておられますが、基本的には自然陣痛初来を 待って自然経膣分娩を試みてよいと思います。
 分娩誘発の代表的な医学的適応をあげます。(1)前期破水 陣痛開始前に破水が起こった場合、分 娩が長時間になると母児への感染の危険が増すので、感染の兆候が出現する前に分娩が終わること が必要です。破水が起こっても、一定時間以上陣痛が始まらないか、陣痛が弱い場合に分娩誘発が 必要になります。
 (2)過期妊娠・予定日を二週間以上過ぎると、胎盤機能が低下し、そのまま放置するとおなかの中で 胎児の状態が悪くなることがあります。これが過期妊娠であり、予定日を一週間以上過ぎ、胎児を取り まく環境が悪化した場合には、分娩誘発の適応となります。
 (3)微弱陣痛、分娩遷延 長時間陣痛の弱い状態(微弱陣痛)が続くと分娩が長引き、母児ともに疲 れ果ててしまいます。このため、上手にいきむことができなかったり、分娩後に子宮収縮が悪くなって出 血が多くなったり、児の状態が悪くなったりすることがあります。このようなときに、適切な陣痛を起こ し、分娩をスムーズにする必要があります。
 (4)糖尿病合併妊娠などのハイリスク妊娠、前回が墜落分娩や急産だった妊娠なども分娩誘発の適 応となることがあります。
 子宮収縮剤にはオキシトシン製剤とプロスタグランジン(PG)製剤があります。PG製剤は経口剤と点 滴で用いる注射剤があります。子宮収縮剤は主に点滴静注されます。過剰投与による過強陣痛が最 も危険であるため、輸液ポンプを用いて、薬液量を厳密に調整しながら少量より開始し、有効な陣痛が 得られるまで徐々に増量していきます。陣痛や胎児の状態を把握するために分娩監視装置を母体の 腹壁に装着し、不測の事態に備えるのが原則です。PG経口剤は点滴注射に比べて調節性に欠ける 欠点があります。PG製剤の慎重な投与が必要とされる項目に、緑内障のある患者、ぜんそくまたはぜ んそく既往、帝王切開既往、多胎妊娠などがあります。相談者はぜんそくの既往歴がありますので、P G製剤ではなく、オキシトシン製剤を選択する方が良いかもしれません。
 あなたの既往歴や妊娠歴、前回の分娩経過をよく知っている担当医に分娩誘発の必要性、使用する 薬剤、方法についてよくご相談ください。元気な赤ちゃんが産まれますようお祈り申し上げます。


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