■琉球新報2001年3月17日付夕刊に掲載 

小学生から手汗がひどい

問い  小学生ぐらいから手汗がひどく、悩んでいます。私の場合はペンを握っていても汗がしたたるような状 態です。父親も同じような症状があり、遺伝ではないかと思います。皮膚科で相談したところ、手術で治 るといわれましたが、副作用があるといわれ、手術にはためらいがあります。手だけではなく、足の裏 も汗をかく時があり、そのせいか手足がむくむこともあります。ほかに治療法があるのか教えてくださ い。

 (18歳・学生) 

<答えるドクター>
久田友治(沖縄県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

イオントフォレーシスも可能/代償性発汗減らす手術も
答え
 手掌(しゅしょう)多汗症の治療として、胸の奥のほうにある神経を切る手術がありますが、手術には ためらいがあるとのことなので、まず手術以外の治療、イオントフォレーシスを説明します。これは水道 水が入った箱の中に手を入れ、弱い電流を流すという方法で、その説明書によると、七時間の治療で 発汗は止まるが、その持続は五―七週間とされており、繰り返し使わなければなりません。昨年から琉 大病院でもこれを導入し、五人の方が行いました。その結果は「有効」一人、「わずかに有効」三人、 「無効」一人で、治療前の汗の量を10とした場合、四人が6〜7へ減り、一人は手は3、足は8に減りま した。満足度は「満足ないし少々満足」が二人、「不満足」が一人、「どちらでもない」が二人でした。問 題としては、治療に時間がかかりすぎるというのが多くの人の意見でした。多汗症に対するイオントフォ レーシスの発汗減少効果は大きいものではないが、手術を希望しないか、手術が不可能な人には勧 めて良いと考えています。
 さて手術ですが、以前は大きな傷で行うものでしたが、最近は技術の進歩で小さい傷の手術が行え、 患者さんの体の負担も少ないものになりました。手術の効果はほぼ確実で、手の汗はほとんどの人で 止まります。また全身麻酔の手術ですが、手術の合併症はとても少ないので安全性の高い手術です。 このように効果は確実で安全な手術ですが、皮膚科の先生が指摘されたように問題点(副作用)もあり ます。すなわち手の汗は止まるものの、他の部位、例えば腹や背中、腰などに以前より多量に汗を多く かくという現象、つまり代償性発汗がほとんどの人で起こります。
 代償性発汗は人によりさまざまで、私たちの調べでは、約七〇%の方は長年の悩みであった手の汗 が止まったので、あまり気にならないという答えでしたが、逆に代償性発汗の程度がひどく、手術をした ことを後悔している方が六%いました。
 最近は代償性発汗を減らすための手術の工夫がいくつか行われています。そのひとつにこの手術を 左右両方するのではなく、例えば利き手の右側だけすると、右手の汗は止まりますが、当然左側は止 まらず、しかし、代償性発汗は少ないようです。また、「神経を部分的に切る」手術も報告されていま す。琉大病院では、平成十年九月から日帰り手術の体制ができ、多汗症だと一泊二日の入院でできま す。またインターネットには役にたつホームページ(「手のひらの機嫌」で検索可能)があるので、ぜひの ぞいてみてください。


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