■琉球新報2001年2月3日付夕刊に掲載 

夫の息のにおいが気になる

問い  一カ月前から夫(四十二歳)の息のにおいが気になります。においは漂白剤のようなすえた(酸性の ような)感じです。一b離れていてもにおいます。口臭かと思いましたが、はみがき直後でもあります。 歯科には定期的に通っていて、虫歯もなく、歯周病でもないと思います。鼻や呼吸そのものからか、内 臓のどこかが悪いのではないかと心配です。原因を教えてください。

 (40代・主婦) 

<答えるドクター>
岸本 信三(県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

真性口臭症か/歯科や内科などで受診を
答え
 二年前に発売された簡易口臭測定器が予想を超えて売り上げを伸ばしているようですが、口臭は古 くて新しい問題といえます。今回は口臭についてお答えします。
 口臭は、大きく分けると三通りに分類されます。
(1)真性口臭症 社会的容認限度を超える明らかな口臭が認められるもの<1>生理的口臭 食べ 物、し好品(ニコチン、アルコール、ビタミン剤その他)、口腔(こうくう)内の不潔<2>病的口臭(a)口 腔内疾患…歯周病、虫歯、舌炎など(b)鼻咽頭(いんとう)疾患…がん、上顎洞炎(じょうがくどうえん) 萎縮(いしゅく)性鼻炎など(c)内科疾患…消化器と肝疾患 腸閉塞(便臭)、肝性口臭(ニンニクと腐敗 した卵の臭い)、糖尿病…糖尿病性ケトアシドーシス(アセトン臭)、腎(じん)疾患…尿毒症(尿臭もしく はアンモニア臭)、呼吸器疾患…肺化膿(かのう)症や気管支拡張症など
(2)仮性口臭症…口臭を訴えるが、社会的容認限度を超える口臭は認められず検査結果などの説明 により、訴えの改善が期待できるもの
(3)口臭恐怖症…真性、仮性口臭症に対する治療では訴えの改善が期待できないもの(精神科など への紹介)
 新潟大学の口臭外来を訪れた患者の統計によると、外来患者の内訳は、口腔由来の病的口臭(三 八%)、仮性口臭(三五%)、生理的口臭(二〇%)の順であり、全身由来の病的口臭は二・七%であっ たと報告されています。
 病的口臭の主な原因は歯周病で、歯面や歯肉溝に付着したプラーク(歯こう)内の細菌が歯肉に炎 症をもたらし、臭いの元となるメチルメルカプタンや硫化水素などを発生させます。また、舌の表面が苔 (たい)状物で覆われた状態を舌苔(ぜったい)といい、そこに細菌やカビの一種のカンジダなどが繁殖 することで口臭を生じます。
 それ以外の病的口臭には、鼻咽頭疾患があり、がん、上顎洞炎(いわゆるちくのう症)、萎縮性鼻炎 などが口臭の原因となります。
 さて、相談者のご主人の口臭は分類では(1)の真性口臭症になるでしょう。゛漂白剤のようなすえた におい゛は、毒性による急性中毒などでみられることがあります。また内科疾患に伴う病的口臭は重篤 な疾患が多く、いずれも相談者の状態には当てはまらないと思われます。一方、食道や胃疾患のみで はほとんどの例で口臭を伴うことはありません。
 ご主人には主治医である歯科医への再度のお問い合わせ、念のため内科や耳鼻科への受診をお 勧めします。


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