■琉球新報2001年1月27日付夕刊に掲載 

不眠で頭に激しい雑音

問い  友人の死にショックを受けて以来、夢をみて眠れない。頭の中では激しい雑音(飛行機や建築現場の 作業のような音)が終日たえることなく聞こえ、下痢が続き血圧も上がった。耳鼻科や脳神経科も受診 したが検査の結果異常はなかった。一人暮らしでもあり、さびしく不安でつらい。神経質な性格で思うよ うにいかない。内科で自律神経失調症と診断され、精神安定剤を半年間のみ続けている。安定剤をの まないと一睡もできず、翌日はふらふらして気分が悪い。このまま内服を続けてもいいのか、良い方法 を教えてほしい。

 (83歳・女性) 

<答えるドクター>
外間宏人(県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

カウンセリングを/薬の量や種類の変更も
答え
 友人の死に伴う不安や悲しみが根底にあり、その強いストレスが自律神経のバランスを崩し、不眠、 下痢、血圧の上昇などの症状を起こしていると思われます。「頭の中の激しい雑音」についても神経の 興奮、緊張が続くため知覚が異常に過敏になって起きている可能性もあります。
 治療上は、向精神薬療法、カウンセリング、環境調整などが有効と思われます。すでに安定剤(向精 神薬)が処方されていますが、ふらつきなどの副作用が現れているようです。向精神薬の副作用として 最も多いものが、のみ始めに出やすいふらつき、日中の眠気などの鎮静作用に関連したものです。の み続けているうちに改善する場合もありますが、そうでない場合は薬を減らしたり、変更したりすること になります。一般の薬と同様に便秘、下痢、嘔吐(おうと)などの消化器症状、肝機能障害などの副作 用もありますが、取りたてて多いというわけではありません。よく眠れるということは、回復のためにとて も大切なことですが、副作用を我慢して漫然と内服を続けるのではなく、できるだけ副作用が出ないで すむよう主治医とよく相談されるのをお勧めします。
 精神科、心療内科などの専門医を受診し、カウンセリングを通して、きっかけとなった精神的ショック から早く立ち直るように、気持ちを整理していかれるのも良い選択だと思います。自分でもあまり同じこ とばかりを繰り返し考え過ぎてはいないか意識してみて、そういうことがあれば何か別のことを考え、気 持ちを切り替えたり、趣味などで気持ちを紛らわせたりしてみるのも良いと思います。一方で不安や悲 しい思いを避け続けるのではなく、時には向き合い、時には開き直る努力も必要となります。
 また環境調整として、家族や周囲の援助を求め、できるだけ落ち着ける環境をつくっていくのも大切 です。一般に高齢になるほど、狭い対人関係、生活環境に陥りがちで、状況の変化に対する適応力は 低下していく傾向にあります。足腰、視力、聴力などの老いに伴う身体の衰えも、一人でいるだけで不 安をかき立てられやすい状況をつくりがちです。一人にならないですむように時間を決めてだれかそば についてもらい、いつでも気軽に連絡が取れるような態勢をとってもらうなどの協力が得られたらよいと 思います。
 ストレスの発散のためにも地域社会の活動へ積極的に参加したりして生活環境の拡大を図っていく のもよいでしょう。当事者だけでは調整が難しく、ケースワーカーなど第三者を交えて行ったほうがよい 場合もありますので、専門の医療機関の受診をお勧めします。


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