■琉球新報2001年1月13日付夕刊に掲載 

夫が円形脱毛症に悩む

問い  七十二歳の夫の髪が昨年初めから抜け始めた。最初はこめかみの上の抜け毛だったが、最近は耳 の後ろの毛が抜けて、徐々に上の方にはげていっている。週一回、皮膚科に通っており、注射、塗り 薬、赤外線治療を行っている。注射の後は毛が生えてきているが、最初は小指ほどの脱毛痕(こん)が 今は親指二本ほどに脱毛の範囲が広がっている。他の科を受診したほうがよいのか、治る方法を教え てほしい。

 (70歳・女性) 

<答えるドクター>
新城 佳代(沖縄県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

根気よく治療を/原因は毛根の自己免疫障害
答え
 脱毛症にはいろいろな種類がありますが、脱毛に困って皮膚科を受診される多くの人は円形脱毛症 の患者さんです。普通は痛みやかゆみもなく円形あるいはだ円形に頭の毛が抜けて地肌が見える「脱 毛」があらわれます。男女の差はなく、赤ちゃんからお年寄りまで幅広い年齢の患者さんがいますが、 特に青少年期の患者さんが多いようです。
 円形脱毛症は脱毛の場所や程度により四種類に分類されます。すなわち、(1)円形脱毛巣ができる 通常型(単発型と多発型)(2)頭髪の生え際が帯状に脱毛する蛇行型(3)頭髪がほとんど脱毛する全 頭型(4)頭髪だけでなくまゆ毛、まつげなどの全身の毛が脱毛する全身型です。今回ご相談の症状は おそらく(2)の蛇行型と思われます。
 さて、この円形脱毛症の原因ですが、今までは精神的ストレスや自律神経失調症が原因ではないか といわれてきました。しかし研究が進み最近では自己免疫説が有力です。つまり円形脱毛症では毛を つくる場所(毛根部)を免疫をつかさどるTリンパ球が攻撃して脱毛が起こることが分かってきました。た だし、この場合でも次の新しい毛根をつくるための幹細胞は侵されることはなく、リンパ球反応が抑えら れれば毛根は回復します。またアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などのアレルギーの病気や膠原 (こうげん)病、慢性甲状腺(こうじょうせん)炎などの自己免疫疾患、精神的ストレスなどが免疫の仕組 みを狂わすきっかけになることもあると考えられています。
 経過としては、脱毛部が数カ所までの通常型は一年以内に自然治癒することがほとんどですが、脱 毛範囲が広いときや再発を繰り返している時は治りにくいので治療が必要です。また一度かかると再 発することも多く、その割合は五年以内に四〇%ともいわれています。
 治療は症状や年齢に応じて行いますが、血液の流れをよくする塗り薬や免疫の攻撃をやわらげるス テロイド外用剤などを用いたり、抗アレルギー剤や抗炎症剤などの内服薬を用いる場合や、紫外線を 当てたりドライアイスを押し当てる治療もあります。範囲が広く難治の場合にはわざと皮膚にかぶれを 起こす「感作(かんさ)療法」といった特殊な治療法も行われます。
 蛇行型〜全身型のように広い範囲で脱毛を起こしていると良くなるまでに長い時間がかかることも多 く、根気よく治療を続けることがとても大切です。また治療中は周囲の人々の病気へ理解も重要です。 今のところ脱毛しないよう予防する方法はないので、円形脱毛症に気がついたら早めに皮膚科専門医 を受診し適切な治療を受けることが治癒への早道です。


<健康相談室>メニューヘ