■琉球新報2001年1月6日付夕刊に掲載 

不快な便通

問い  二十数年前にいぼ痔(じ)の手術をして以来、便通がよくありません。座薬やかん腸剤を使ったり、食 事も肉類を控え野菜やイモを多くとるなど工夫して、やっと出ていますが、以前のようにスムーズには出 ません。肛(こう)門に肉片様の二、三_程度の突起があり、これが便通を悪くしているのでしょうか。手 術以前からあったものなのかどうか分かりません。快適な便通を取り戻す方法を教えてください。

 (74歳・男性) 

<答えるドクター>
金城隆夫(県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

肛門が狭い状態/大腸検査の受診を
答え
 便通がよくないのが、以前の術後からですので、いわゆる常習性の便秘ではないと思います。常習 性便秘は機能性便秘ともいい、大腸の運動低下や緊張高進に伴い、あるいは直腸の便に対する排便 反射の低下などで起こります。大腸検査や肛門に異常は認めません。
 これに対して、診察や検査などで原因が分かるものを器質性便秘といい、大腸、肛門などの疾患が 含まれます。この中で肛門疾患は狭窄(きょうさく)、痔核(じかく)、粘膜脱、裂肛などです。これらは肛 門を狭くするため排便難を起こします。痔の進行に伴い、または痔の術後に起こることがあります。術 後の関係した病状ですので、痔の手術について説明します。
 いぼ痔の手術は、内痔核を切除します。内痔核は三カ所あり、大きさや脱出の程度によって二―三 カ所の切除を要します。痔核は粘膜下にあるため、肛門から直腸にかけての粘膜も付けて切除しま す。痔の進行程度により、切除粘膜の広さに多少の違いがでます。残る粘膜が少ないと術後の排便時 に肛門が狭く感じられる方がおられます。特に術後の創感染は狭窄の主な原因になります。肛門の診 察では瘢痕(はんこん)がないかを診ます。指を肛門に入れて、狭いかどうかや肛門を締める力を調べ ます。排便難があり、診察で狭窄が確かめられれば肛門狭窄といいます。
 さて、肛門狭窄は切れ痔(裂肛)が慢性化した状態でも起こります。この場合は排便時に痛みを伴 い、時に出血があります。肛門に潰瘍(かいよう)があり、そのすぐ外側に小さい疣(いぼ)状のポリープ が見られるのが特徴です。
 ご質問の二、三_の突起が裂肛に伴う肛門ポリープかどうかですが、それとするには症状が合わ ず、排便難の原因とは考えられません。経過中、裂肛が合併したかもしれませんが、ご質問の内容か らは断定できません。
 術後長年たち、その間の病状の変化に加齢に伴う肛門機能の低下の影響も考えられますが、排便 難の程度やかん腸等に頼っている状況から肛門が狭い状態と推察します。
 まず保存的治療をします。すでに繊維の多い食事を取り入れているようです。根菜類、海藻類、果物 などを勧めます。食事療法と並行して緩下剤を使用します。作用の弱いものから順次試みます。痔の 座薬で排便がスムーズなら用います。保存治療でも満足すべき結果が得られない時、手術治療を考慮 します。肛門を締めている筋肉を切開する手術がとられます。肛門疾患は直腸や大腸がん等と症状が 似ています。検便、貧血検査を含め、大腸検査を受けてください。


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