■琉球新報2000年12月16日付夕刊に掲載 

繰り返す体部白癬

問い  三十年くらい前から方言名で「グチャファ」といわれる臀部(でんぶ)の皮膚病にかかっています。以前 通っていた皮膚科では軟こうを処方されたのですが、一時的に治っても、季節の変わり目、特に汗をか きやすい夏場に再発するという状態を繰り返しています。昨年はあまりにもかゆみがあり、クレゾール で患部をあぶったほどでした。以前に新聞で注射による方法で治るということを読んだ記憶がありま す。完治する方法はあるのでしょうか。

 (52歳・男性) 

<答えるドクター>
比嘉 禎(県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

治療中断が早くないか/自己判断で薬使わないで
答え
 ご質問の「グチャファ」には「アカグチャファ」や「シルグチャファ」などがあります。別名を「クサバ」とも 呼ばれる体部白癬(はくせん)のことと思われます。
 体部白癬は皮膚糸状菌による皮膚感染症で、初夏から初秋にかけて発症しやすいものです。皮膚糸 状菌が皮膚の角層あるいは角層が変化した皮膚の付属器の毛やつめを侵し、いろいろな病型の皮膚 糸状菌症を引き起こし、発生部位により体部白癬、股部白癬(インキンタムシ)、足白癬(水虫)、つめ 白癬等と呼ばれます。
 症状としては、■幹(からだ)、四肢(両手両足)に紅色小丘疹や小紅斑(こうはん)として発症し、徐々 に遠心性に拡大して中心部は治癒(ちゆ)傾向があり、軽度の色素沈着を残して軽快し、辺縁部は堤 防状に隆起し、発赤、丘疹、小水疱、鱗屑(りんせつ)や痂皮(かさぶた)がみられ、全体としては環状、 C字状です。正常皮膚との境界は明りょうです。
 診断は皮疹部の鱗屑、毛髪などの角質を顕微鏡下に直接観察し、菌要素を確認します。治療は菌 が皮膚の表層に限られていることが多いため、外用抗真菌剤の塗布で約二―三週間で治癒するもの と思います。
 ご質問のように、一時的に治っても夏場に再発を繰り返すようであれば、その原因をつきとめる必要 があり、もう一度皮膚科専門医を受診し、その原因を推測し、夏場の再発防止やスキンケアについて 話し合いながら治療を行ってください。例えば、臀部など直接見えにくいところは軟こうを塗り残すこと が多く、まんべんなく塗っていたかどうか。また角層内の菌が消えても毛穴に菌が残っている可能性も あり、治療中断が早くなかったかなど。再発を繰り返す例では自覚症状が消えると治療をやめている 方が多いのですが、いかがでしたでしょうか。
 最近はペットからの感染や土壌中の菌が感染することもあります。外用ステロイド剤の誤用や足白癬 があり、これより体部白癬を併発することもあります。なお体部白癬に対する注射による治療は保険適 用がなく、私自身聞いたこともないのでその効果もわかりません。おそらくほかの病気の治療ではない でしょうか。
 またかゆみのため、患部をクレゾールであぶったとのことですが、誤った使い方をするとかぶれを起 こしたり、時にやけどのような症状を呈することもありますので、自己判断で使わず、必ず医師や薬剤 師に相談してからお使いになってください。
注:■は、身と區をあわせた漢字です。


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