■琉球新報2000年11月4日付夕刊に掲載 

左ひざの痛み

問い  左ひざ下の外側部分に痛みがあり、台所仕事が我慢できないほどになったため整形外科で診てもら ったところ、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)と診断されました。「完治はしない が進行を食い止めましょう」と言われ、腰痛体操を勧められました。現在、飲み薬とはり薬をもらいなが ら、週三回のリハビリのほか、自宅で体操をしています。有効な治療法を教えてください。

 (58歳・主婦) 

<答えるドクター>
仲宗根 栄作(県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

装具療法などが有効/まずは精密検査を
答え
 ご質問を寄せられた方は、すでに腰部脊柱管狭窄症の診断がなされていますので、その説明からし たいと思います。
 腰部脊柱管狭窄症とは、腰椎(ようつい・腰の背骨)の変形および腰の靱帯(じんたい)や椎間板(つ いかんばん)の変性などの加齢的変化と、腰椎の発育障害、そして椎間板ヘルニアの三つの要素がさ まざまに組み合わされることによって、脊柱管(脊椎の中で脊髄の神経が通る管)が狭くなり、脊髄(せ きづい)の神経が圧迫されたり締めつけられて生じる疾患です。加齢的要素が大きいため、中高年に 好発し男女比は三対一と男性に多くみられます。男性は重労働に従事することが多く、変形が促進し やすいためと思われます。
 おもな自覚症状は、漠然とした腰部鈍痛、下肢のしびれや異常知覚、しばしば両側性におこる大腿 (だいたい)後面やふくらはぎ外側の疼痛(とうつう)などです。そのほか姿勢が影響する特徴的な症状 として、間欠跛行(はこう)があります。この症状は、歩行や背屈姿勢で増強した下肢症状が、しゃがん で座るといった腰の前屈姿勢での休憩で軽快し歩行可能となるものです。これは背屈すると、脊柱管 の背側の変性した靱(じん)帯が、伸びきったゴムのようにたるんで、脊髄の神経を圧迫するからです。 しかし下肢の動脈が閉塞(へいそく)する疾患でも、間欠跛行は生じますので自己診断はご注意くださ い。
 手術によらない治療として、消炎鎮痛剤などの薬物療法、リハビリ、体操療法、腰の背屈は制限する が、前屈は可能な装具療法、局所麻酔剤を使用するブロック注射があります。中等症の場合、装具療 法などで間欠跛行が改善する効果は十分期待できます。腰下肢痛や歩行障害が強い場合、神経根ブ ロック注射がかなり有効と思われます。
 これらの療法によって症状が軽快しても、脊椎の変性変形は残存しています。再発を防ぐために、腰 椎への過度な負担はさけるべきです。また治療効果が小さく症状増悪したり、あらたに排屈排便障害 まで出現するようなら、手術的治療の必要性も考慮しなければなりません。
 この相談者の場合、我慢できないほどの左ひざ下外側の痛みという片側によった症状ですので、椎 間板ヘルニアの要素が大きい可能性があります。その場合進行が早くなる傾向がありますので、MRI 検査などの精密検査も受けられ、硬膜外ブロックや神経根ブロックの必要性について主治医の先生に ご相談ください。


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