■琉球新報2000年8月5日付夕刊に掲載 

帯状疱疹の後遺症

問い  三年前、右わき腹に帯状疱疹(たいじょうほうしん)ができ、四カ月余り入院し治療しました。入院中は痛み止めの注射や服薬、麻酔(?)を受けました。しかしその後も後遺症の神経痛が残り、ずっと痛みが続いています。横になっているうちはいいのですが、動き回ると強い痛みが出るので、家事もほとんどできない状態です。いい治療法を教えてください。現在は月一回通院し、痛み止めの座薬や漢方薬、しびれを取る薬など七種類の薬を処方してもらっています。

 (73歳・女性) 

<答えるドクター>
平良豊(沖縄県医師会) ・・・・・・・・・・・・・・・・

慢性は対症療法で/初期は神経ブロック療法を
答え
 帯状疱疹は身体の一部に痛みを伴う赤い皮疹が出るウイルス性の疾患です。通常は三〜四週間で自然治癒します。 しかし厄介なことに、皮疹が治ったあとに後遺症が残ることがあります。最も多い後遺症が帯状疱疹後神経痛で、全体の二〇%の患者さんに起こります。また高齢になるほど起こりやすく、六十歳以上では四〇%の患者さんに起こります。この神経痛は「ヒリヒリ、ズキズキ」とした痛みで一日中続きます。
 また下着が皮膚に触れるだけで痛みが走ります。そのため患者さんは動くこともおっくうになり、家にこもりがちになってしまいます。
 神経痛の初期(発症から六カ月以内)では神経ブロック療法が有効で、約六〇%の患者さんが完治します。これは技術を要する治療法なので麻酔科専門医またはペインクリニック認定医が行います。
 発症から六カ月を超えて痛みが続く場合は治りにくく、現在のところ完治させる治療法はありません。したがって対症療法を行いながら治るのを待ちます。最も効果のある薬は@抗うつ薬です。口が乾く、便秘、眠気、血圧上昇などの副作用があります。主治医と相談し副作用が少なく、より効果的な量を見つけます。ピリッとするような、あるいはビリビリしびれるような痛みにはA抗けいれん薬のカルバマゼピンが有効です。
 慢性化した痛みの場合B消炎鎮痛薬はできるだけ使わないようにします。特に痛い時だけ服用し、定期的な内服は避けましょう。漫然と長期間服用すると胃潰瘍(かいよう)の危険性が高くなります。C消炎鎮痛薬の座薬は内服より胃への影響が少ないです。D痛い皮膚に消炎鎮痛薬を含んだクリームやローションを塗るとある程度の効果があります。最近使われるようになった治療薬としてE七%リドカインゼリーFカプサイシンクリームがあります。 帯状疱疹後神経痛は慢性化した場合には難治性で患者さんの苦しみは大変なものです。この神経痛は感情にも影響され、例えば何かに一生懸命集中していると痛みを忘れることがあります。また怒りや悲しみ、不安がある時、さらに天気が悪い時は痛みが強くなります。したがって、普段から気持ちをできるだけ穏やかにし、「なんくるのーいさ」と開き直ることも大切です。かといってあきらめずに治療を続けましょう。また、痛いからとじっと動かずにいるよりも、何か集中できる趣味などを始めることも痛みと付き合うためのよい方法です。
 この神経痛はいつか必ず治るか、あるいは生活に支障を来さない程度になります。焦ることなく頑張りましょう。経過のなかで一時的に悪くなることがあります。このようなときはペインクリニック専門医を紹介してもらうとよいと思います。


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