■琉球新報2000年5月20日付夕刊に掲載 

低体温で悩む

問い 【問い】  低体温で悩んでいます。いつ体温を計っても三三・一―三五度の間でそれ以上にはなりません。いつも手足と腰が冷たく、夜寝る時は布団の中にドライヤーを入れています。夜中に何度もトイレに行くため、ぐっすり寝た気がしません。生理不順で、ぜんそくもあります。漢方薬を飲んだり、根菜を食べたり、冷たい飲み物を避けたり、ウオーキングを一―二時間したりしています。今年は子ども欲しいので、万全の体調にする方法を教えてください。

 (34歳・女性) 

<答えるドクター>
東政弘(琉大医学部産婦人科)3月末退職 ・・・・・・・・・・・・・・・・

甲状腺機能などに問題か/内科と産婦人科受診を
答え
 体温は正常状態では、視床下部の体温調節中枢により熱の産生と放散とがコントロールされ、一定範囲内に維持されています。女性の体温は月経周期に連動して変動し、起床時の基礎体温でみると、排卵日を境にして〇・五度上昇し、この高温相は月経を境に再び低温相に移行します。ですから基礎体温を計ることにより排卵の有無を知ることができます。
 あなたの場合はどうでしょうか。低温で一相性ではないでしょうか。
 慢性的に「手足の冷え」を訴える場合としては@更年期障害A自律神経失調症B四肢の閉塞(へいそく)性動脈硬化症Cバージャー病D慢性うっ血性心不全E甲状腺(せん)機能低下症F下垂体前葉機能低下症G副腎(じん)皮質不全症(アジソン病)H栄養不良I薬物(降圧薬過量)などが挙げられます。
 あなたの場合、ほかの症状をもっとお聞きしたいところですが、一―二時間のウオーキングができる元気があるとのこと、月経は不順であることから甲状腺機能低下症、下垂体前葉機能低下症、副腎皮質不全症などを考えて診断を進めるべきでしょう。
 甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモン欠乏により新陳代謝が低下し、低体温をはじめ特有の症状を呈します。記憶力が減退し容易に眠気を催し、寒さに敏感で発汗は減少し、皮膚もカサカサしてきます。顔面、四肢も浮腫(ふしゅ=むくみ)状になりますが、圧迫してもくぼみあとを残さないのが特徴です。
 声帯にも浮腫をきたし、低い声やしわがれ声となり、言葉や動作もゆっくりとなります。消化器症状として胃腸のぜん動減少により食欲低下、便秘となりますが体重は増加します。
 以上は典型的な症例ですが、典型的でない甲状腺機能低下症は一般に考えられているよりもずっと頻度が高いといわれています。血中コレステロール値が高く、血中クレアチニンフォスホキナーゼ(CPK)が高値であれば本症の可能性は高いです。
 乳頭を圧搾すると白い乳汁分泌はありませんか。これは下垂体から分泌されるプロラクチンが高い場合に認められ、原発性の甲状腺機能低下症に伴って現れることがあります。そうすると卵巣機能の働きが障害され、正常な排卵がないことがあります。
 あなたの場合、内科医を受診され、まず甲状腺機能低下症を、そして副腎皮質不全症を鑑別診断してもらうようにしたらよいと思います。また、月経不順については産婦人科を受診し、甲状腺機能低下症と下垂体前葉機能低下症を鑑別診断してもらってから、卵胞の発育状態、排卵の有無を検査すべきでしょう。
 さらにほかに妊娠の障害となる点はないかチェックしてもらったらよいと思います。甲状腺機能低下症の診断がつけば、内科的に甲状腺ホルモンの補充を行えば見違えるように体調はよくなりますし、そのことが正常な卵巣機能の回復につながります。詳しくは専門医にご相談なさってください。


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