■琉球新報2000年4月22日付夕刊に掲載 

左ほおのけいれんが悪化

問い  昨年末から、左ほお(目の下側)が二十四時間ずっとピクピクとけいれんしています。脳神経外科のMRI検査で脳は異常なし。精神的ストレスによるものとして精神安定剤を処方してもらいましたが、最近、けいれんの範囲や強さがひどくなってきています。注射で顔面けいれんを抑える方法もあると聞きましたが、神経に与える影響や長期間続けるのか、自然治癒はしないのかなどを教えてください。担当医は「命にかかわることではない」と言いますが、顔のことなので困っています。

 (28歳・女性) 

<答えるドクター>
小嶺幸弘(琉球大学医学部第3内科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

片側顔面けいれんか/局所注射、県内でも可能に
答え
 MRIに異常がないならば腫瘍(しゅよう)や脳血管障害などは一応否定されますので、質問の症状からは、チック、片側顔面けいれん、眼瞼(がんけん=まぶた)けいれんなどが考えられます。下眼瞼だけであればチックが、ほおであれば片側顔面けいれんの可能性が大です。
 本人の意図しない異常な動きを不随意運動と呼びますが、ほとんどの不随意運動は睡眠中にはなくなります。片側顔面けいれんも深い睡眠時は減少しますがチックとは異なり、浅い睡眠時にはけいれんがみられるので、質問のように「二十四時間」と言うのも過言ではないでしょう。睡眠中のけいれんの有無を確かめてもらって、けいれんがあれば片側顔面けいれんがより確かになります。
 片側顔面けいれんには血管が顔面神経を圧迫刺激して生じる例があり、この場合には開頭手術を行いますが、手術操作により聴覚障害などを来すことがまれにあります。最近では三次元CTにより血管と神経の位置を明らかにでき診断が容易になりました。MRI血管像も診断に有用です。ほかには顔面神経まひ後に生じたり、原因が分からない例もあります。
 チックは精神的ストレスによることもありますが、ほかの原因による不随意運動の多くも精神的なストレスで悪化します。精神安定剤はストレスを感じさせないだけでなく直接にけいれんを抑える作用がいくらかありますが、クロナゼパム(抗てんかん薬)の方が不随意運動に有効なことが多いです。
 これらの治療で不十分であれば、ボツリヌス菌が作る物質をけいれんする筋に微量注入して、その筋をまひさせることが最近、保険診療でも可能になりました。従来の神経ブロックのように神経を破壊するのでなく、運動神経機能を抑えると考えてよく、安全ですが三―四カ月で効果がなくなるので繰り返す必要があります。費用が比較的に高く、これまでは眼瞼けいれんだけに認められており、内服薬が効かない例でも顕著な効果がありました。
 自然消失はチックでは普通ですが、この質問者の場合は二カ月以上続き悪化しているとのことですので自然治癒は難しいかもしれません。若い女性では切実な悩みと思います。
 県内でもこの四―五月から三、四カ所の病院で顔面けいれんに対するボツリヌス菌産成物微量局所注入療法が可能となりますので、内服薬治療が困難な場合は主治医と相談の上、紹介を受けられるとよろしいでしょう。


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