■琉球新報2000年4月15日付夕刊に掲載 

「石灰沈着」再発が心配

問い  去年十二月に左肩が痛み、上下できなくなったため、受診したところ、レントゲンで左上腱板(けんばん)に石灰沈着があるといわれました。自宅から遠い病院だったため、その日は痛み止めの薬をもらい、あらためて近くの整形外科に行くよう言われました。しかし、薬を飲んでからは上下不可能になるほどの痛みはなくなり、我慢できる範囲の痛みが時々ある程度です。そのままにしていても再発はしませんか。再受診の必要はありますか。

 (32歳・女性) 

<答えるドクター>
上江洲邦弘(県立南部病院整形外科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

痛み止めも効果的/レントゲン撮ってみては?
答え
 ご相談の病状の正しい病名は、石灰沈着性腱板炎といいます。腱板は三角筋(肩の注射をする大きな筋肉)と肩関節の間にあり、小さな筋肉がいくつか集まってできています。肩の運動に大変重要な働きをします。野球の投手がよく「肩を壊す」と言いますが、その原因の多くがこの腱板の使い過ぎによるものです。
 石灰沈着性腱板炎は、三十代から四十代の家庭の主婦によく見られます。この点でも五十肩とは区別されます。この石灰は、当初は濃厚なミルク状で、時がたつにつれ、練り歯磨き状、石膏(せっこう)状へと硬く変化していきます。
 突然耐えられないほどの激痛で起きる急性型、比較的ゆっくり起きる亜急性型、軽い痛みが長い間くりかえされる慢性型があります。
 石灰が腱板の中にある間はあまり痛くはありませんが、どんどんたまって膨らんでくると痛みが増してきます。腱板から破れ出る時に激痛となり、ピークに達します。
 急性型の激痛を早く取るには、腱板に針を刺して破り、ミルク状の石灰を吸引する方法がよく行われています。おできを切開し膿(うみ)を出す方法に理屈が似ています。三角巾による安静、痛み止め(消炎鎮痛剤)の使用で石灰はほとんど吸収され消えてなくなります。レントゲンで石灰が消失したものについては、再発することはあまりありません。ただ、体質的なものですので、時々反対側の肩に起きることがあります。
 慢性型では石灰は石膏状に硬くなり、腱板にこびりついて残ります。時々強い痛みが再発することもあります。また、硬く膨らんだ石灰が上肢の上下運動などで周りと接触し、痛みが続くことがあります。痛みが強く、肩の運動に支障がありますと、まれに手術で摘出することもあります。
 相談者の場合、文面から判断しますと、亜急性型の発症ではなかったかと思われます。現在でも時々痛みがあるとのことですが、慢性化していることも考えられます。石灰が残って慢性化していますと、多少再発しやすい傾向があります。気になるようでしたら、お近くの整形外科でレントゲンを撮って相談されてみてはいかがでしょうか。
 しかし、石灰が残っている場合、それに対する適切な治療法や再発を予防する方法はないのが現状です。再発についてはご心配かもしれませんが、そう度々起こるものではなく、現在我慢できる範囲の痛みが時々ある程度ですし、痛み止めもかなり効くようですので、再発した時に再受診をされてよいのではないかとも思います。


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