■琉球新報2000年3月25日付夕刊に掲載 

ブロック注射後、下半身にしびれ

問い  三十年前から椎間板(ついかんばん)ヘルニアと診断され、あちこちの病院で治療を受けていました。三年前、ある整形外科で「センブロ」というブロック注射を尾てい骨に打ったところ、家に帰る途中から下半身にしびれが出てきました。別の病院で診せたら、注射が神経に触ったかもしれないと言われました。三年たった今でも、おしりや睾丸(こうがん)、太ももがしびれており、座るのも苦痛で、仕事にも支障があります。マッサージや針治療でも治りません。治療法を教えてください。

 (56歳・男性) 

<答えるドクター>
屋良哲也(琉球大学医学部整形外科) ・・・・・・・・・・・・・・・・

仙骨神経が関係か/原因究明の検査が先決
答え
 「センブロ」のお話に入る前に、そもそもの下肢(かし)痛の原因となっている腰椎椎間板ヘルニアについて話します。腰椎椎間板ヘルニアは椎間板軟骨が脊柱管(せきちゅうかん=神経の通り道)内に突出することをいいます。これが腰・仙骨神経(下肢の動きや排尿・排便にかかわる神経)を圧迫すると、通常は片側の下肢に疼痛(とうつう)や軽いまひが生じたりします。
 この病気の治療の原則は理学的治療や投薬治療などの保存的治療であり、約七〇%のケースで治癒あるいは症状の軽快がみられます。残りのケースは手術が必要になることもありますが、手術の適応や方法についてはここでは割愛させていただきます。
 治療薬には消炎鎮痛剤、筋弛緩(しかん)剤、ビタミン剤などがあります。その他の治療法として、神経ブロックの一種である仙骨裂孔ブロック注射があり、これを「センブロ」と略したりします。
 仙骨裂孔ブロック注射は手術の際の麻酔に用いられたり、今回のように下肢の痛みに対する治療法として用いることもあります。麻酔剤を使用しますので、ブロック後数時間は両下肢にしびれ感や脱力感を自覚することもあります。通常は何回か続けて注射をしますが、用法は医師によって若干は異なります。
 さて、問題のブロック後に生じたとされるおしり、睾丸(陰嚢=いんのう=と考えられます)および大たい部のしびれについてですが、しびれの部位から仙骨神経の症状が考えられます。
 ご質問の内容だけでは、ブロックによって仙骨神経が損傷されたのか、もともとの椎間板ヘルニアの症状が悪化したのかはっきりしません。ブロックによる神経損傷であるとすれば極めて珍しいケースになりますし、一方、腰椎椎間板ヘルニアの症状としても通常みられることの少ない特殊な領域の症状といえます。
 いずれにしても最も重要なことは、その原因を究明することにありそうです。診断のためには磁気を利用したMRIや脊髄(せきずい)造影などの特殊検査がまず必要です。これらの検査により、しびれの原因や詳しい病態が分かるかもしれません。
 治療法は原因によって異なります。仙骨神経の損傷であれば、消炎鎮痛剤やビタミン剤の投与により軽快するのを待つことになりますし、椎間板ヘルニアであれば、ヘルニアの摘出も考えなければいけません。まずは専門医を受診され、検査を受けることをお勧めします。


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